第4話 神の刻印

俺はそんな不思議な気持ちに包まれながら、彼女にこの刻印が一体何なのかを質問した。



あかり、この胸に刻まれてるのは一体何なんだ?」



「本当に太陽うずひは手がかかるな……しょうがないから教えてあげる。

それは僕と君とが契約した証、神の刻印だ」



「…………神の刻印?」



「そうだとも、僕と君は今日から一心同体だ!

君が感じている事、味覚、考えている事、痛みは全て僕と君だけの物だ……誰も割り込むことなんて出来ない

そして勿論のことだけど僕の痛みは、君の痛みになる

だから優しく扱ように!オーケー?」



にこっと笑いながら彼女はそう言った。



「オーケーって……それってまさか死も共有しているのか?」



「当たり前じゃないか、僕と君は文字通り一心同体、だよ? 片方が死ねばどちらも死ぬ、まぁーそんな事には僕が絶対にさせないから安心しなよ、君には特別な力もあるしね」



正直ここまでくると驚きなどは等に通り越しており、若干今の状況が飲み込めてきていた。


人は驚きすぎてしまうと、感覚が麻痺するものなのだと、俺は今実感していた。


勿論の事だが、目の前に降り注ぐ血の雨にももう驚く事はなく、いまはただ冷静にこの状況を打破する事だけを考えている。



太陽うずひはこの滅びゆく世界を救いたいんだね」



彼女はまた悲しそうな顔をしているが、彼女の考えている事が全く読めない……何故かはわからないが、頭にモヤが入ってき、軽く頭痛がする。



「俺はこれからどうしたらいいと思う?」



太陽うずひのしたい様にすれば良いと僕はそう思うよ? 君が世界を救いたいと言うのなら僕は力を貸そう、僕は君と一緒に産まれた時から、ずっと君だけの僕だからね」



彼女にそう言われた俺の目からは何故かは分からないが、自然と涙が溢れていた。


そしてとめどなく溢れる涙を、彼女は優しく両手で拭ってくれた。



「泣かないで、僕がついてるから大丈夫だ

それじゃー世界を救い行こうか、太陽うずひ!」



彼女に笑顔でそう言われると何故かわからないが、本当に世界を救えそうな気がした。


そして俺も答えた。



「おう!」



と、まぁ〜そんな風に答えたのはいいものの、この全てを破壊する血の雨を防ぐ方法が無いのに、一体どうやって世界を救うのだろうと思っていると彼女が言った。



「さぁー太陽うずひ、君の今求める力をを想像して僕の名前を呼んでごらん、僕は君の武器にも盾にもなろう」



俺は身を守る為に、体全体を包み込む聖なる衣をイメージして、彼女の名を呼んだ。



「来い、あかり!」



俺が心の底からそう叫ぶと、彼女の胸に刻まれた月の刻印が輝き、そのまま彼女の姿をとても薄い光り輝く聖衣球クロススフィアへと姿を変え、俺はその月のように光り輝く聖なる布の球の中に入り、宙に浮きながらアポカリティックソングを歌う天使の元へと向かう。



太陽うずひは本当にチキンだな〜鳥さんもびっくりするくらいにチキンだよ!

まぁーしょうがないか、触れたら溶ける雨なんて普通には回避できないしね」



「体は大丈夫そうか?」



「こんな雨に打たれて大丈夫なわけないよ?

身体中が血生臭くて、辛いよ……女の子にこんな役目押し付けるなんて、ど変態だね太陽うずひは♡」



そんな事を言いながら俺は幼馴染である、エレナの家を空高くから見下げ、固まった。



「どうして……何でだよ」



世界は残酷だ、弱き者はただ腐って朽ちることしか許されない、強き者は弱き者を助けるが世の中には弱い者の方が多い、それ故にただ腐って朽ちることしか許されない。


目の前に映る光景は、俺にとってはなかなかの地獄絵図であった、幼馴染の両親の死体のようなものがドロドロに溶けており、エレナの姿はもうそこにはなかったのだから。

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