第4話 神の刻印
俺はそんな不思議な気持ちに包まれながら、彼女にこの刻印が一体何なのかを質問した。
「
「本当に
それは僕と君とが契約した証、神の刻印だ」
「…………神の刻印?」
「そうだとも、僕と君は今日から一心同体だ!
君が感じている事、味覚、考えている事、痛みは全て僕と君だけの物だ……誰も割り込むことなんて出来ない
そして勿論のことだけど僕の痛みは、君の痛みになる
だから優しく扱ように!オーケー?」
にこっと笑いながら彼女はそう言った。
「オーケーって……それってまさか死も共有しているのか?」
「当たり前じゃないか、僕と君は文字通り一心同体、だよ? 片方が死ねばどちらも死ぬ、まぁーそんな事には僕が絶対にさせないから安心しなよ、君には特別な力もあるしね」
正直ここまでくると驚きなどは等に通り越しており、若干今の状況が飲み込めてきていた。
人は驚きすぎてしまうと、感覚が麻痺するものなのだと、俺は今実感していた。
勿論の事だが、目の前に降り注ぐ血の雨にももう驚く事はなく、いまはただ冷静にこの状況を打破する事だけを考えている。
「
彼女はまた悲しそうな顔をしているが、彼女の考えている事が全く読めない……何故かはわからないが、頭にモヤが入ってき、軽く頭痛がする。
「俺はこれからどうしたらいいと思う?」
「
彼女にそう言われた俺の目からは何故かは分からないが、自然と涙が溢れていた。
そしてとめどなく溢れる涙を、彼女は優しく両手で拭ってくれた。
「泣かないで、僕がついてるから大丈夫だ
それじゃー世界を救い行こうか、
彼女に笑顔でそう言われると何故かわからないが、本当に世界を救えそうな気がした。
そして俺も答えた。
「おう!」
と、まぁ〜そんな風に答えたのはいいものの、この全てを破壊する血の雨を防ぐ方法が無いのに、一体どうやって世界を救うのだろうと思っていると彼女が言った。
「さぁー
俺は身を守る為に、体全体を包み込む聖なる衣をイメージして、彼女の名を呼んだ。
「来い、
俺が心の底からそう叫ぶと、彼女の胸に刻まれた月の刻印が輝き、そのまま彼女の姿をとても薄い光り輝く
「
まぁーしょうがないか、触れたら溶ける雨なんて普通には回避できないしね」
「体は大丈夫そうか?」
「こんな雨に打たれて大丈夫なわけないよ?
身体中が血生臭くて、辛いよ……女の子にこんな役目押し付けるなんて、ど変態だね
そんな事を言いながら俺は幼馴染である、エレナの家を空高くから見下げ、固まった。
「どうして……何でだよ」
世界は残酷だ、弱き者はただ腐って朽ちることしか許されない、強き者は弱き者を助けるが世の中には弱い者の方が多い、それ故にただ腐って朽ちることしか許されない。
目の前に映る光景は、俺にとってはなかなかの地獄絵図であった、幼馴染の両親の死体のようなものがドロドロに溶けており、エレナの姿はもうそこにはなかったのだから。
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