食べさせたい男。

 人のヘキと言うものは本当に興味深く理解し難いものが多々ございますが、この様な方々の存在を最近知り驚嘆と納得を持ち過去の出来事も納得出来たり出来なかったりしております。そして本日、あの美しくアンニュイな雰囲気の中村倫也がそのお仲間だったとは!!


 至って普通の、、(多少癖はございます)仕事でたまにご一緒する中年紳士。仕事が早く終わると焼肉をご馳走してくれる太っ腹な方がおりまして、その日も仕事終わりが早いとわかるや否や晩御飯のお誘いを受けました。美食をこよなく愛する私は二つ返事で承諾いたしました。

「お疲れ様でした〜」

と仕事仲間の皆さんにご挨拶後すと早速繁華街へ繰り出し、焼肉屋さんへ直行いたします。

メンバーは焼肉を紳士と、見目麗しき黒髪の乙女、そして丸いのが自慢のわたくしの3名でございます。店が近づくにつれ漂ってくるあの急激に食欲を刺激する香り、喉を潤す黄金の液体ときめ細やかな白い泡の誘惑。私のお腹は大きく両手を広げて『さぁ、いらっしゃい私を心ゆくまで満たすがいいわ』と受け入れるだけの体制となっております。

 着席する前には『とりあえずビール』と合言葉を言い、『とりあえず上塩タン』『特上カルビ』『ロース、ハラミ』『キムチ盛り合わせ、ナムル、サンチュ』。。(書きながらもお腹が空いて来ましたので、一旦何か食してまいります。。。か。)

薄氷をまとったジョッキに入る黄金色の液体が喉と胃を歓喜させ、炭火の上で熱せられる網は塩タンの脂を溶かしながら身を焦がしてゆく。。なんたる至福!!!


左手にジョッキ、右でトングを持ち上塩タンのご機嫌を伺おうとしていると


「君らは焼かんでええねん!食べるだけでええねん!焼くのは俺の仕事や!」ニヤリ


私の右手からトングを奪い目を細めながらながら紳士は言うのです。


「たーんと食べとったらええねん。どんどん食べや。ビールも飲みや!レモン搾って塩タン待っときや!」


この言葉通り、この紳士はビール片手にお肉を焼き続け黒髪の乙女と丸い私の前に食べ時のお肉を差し出し続けたのでした。


美味そうに食うなぁ〜

ええ顔すんなぁ〜

そんなうまいか?

食え食え

満面の笑みやないかぁ〜

もっと焼いたろ

ええ焼き加減や〜食えよ〜


紳士も食べてくださいよ!

と何度か言ってみたのですが、頑なに拒否するのでした。不思議に思い問い詰めてみますと、この紳士には肉を美味しそうに頬張る顔が最高のツマミなのだそうでございます。


はっ!!

そう言えば。。。仕事場にやたらスイーツを差し入れる社長、やたらとお菓子をくれる駐輪場のおじさん。。会うたびにビールをご馳走してくれるbarの常連さん。。。。


なるほど。。

これは餌付けなのでしょうか??

食べさせずにはいられないほど食べそうな顔をしているのでしょうか??


とにとかくにも美味しいものを食べさせていただけるなら大歓迎でございます!!!!!








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