21p

 その光の眩しさに、さなぎとひろしはウッと唸り、手の甲を自分の目に当て、そして両目をぎゅっと閉じた。

「あなた達、そこで何をしているの?」

 そう声をかけて、その女は、さなぎとひろしの顔を照らす懐中電灯の光を、二人の顔から離した。

「あなた達、こんな時間にこんな所で一体何をしているのよ? あなた達、何で……あっ、もしかしてデート? デートなわけ? デートにしたって何でここにいるのよ?」

 その女は、とても早口で喋った。

 突然、懐中電灯で照らされて、眩しいと思ったら、今度は突然現れた女に早口で質問されているという状況に、さすがに直ぐに反応出来ずに、ひろしは女の顔をただ見ていた。

 さなぎの方は、激しく瞬きをして、興奮した様子で女の顔を見ていた。

「ちょっと、何とか言ったらどうなの? あなた達は……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る