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 さなぎが見上げた空に、また星が一つ、輝き、落ちる。

「良い夜だ」

 ひろしが言う。

「……良い夜です」

 さなぎが呟く。

 そして、二人は、もう何も言わずにしばらく夜空を見た。

 そうしているうち、ふと、死ぬ事に、理由なんて必要なのかな……という、ひろしの問い掛けがさなぎの頭の中に過ぎる。さなぎは、それに心の中で、そっと、必要あるわよと答えた。

 さなぎとひろしの見る空に、また流れ星が走った。

「なんだか喉が渇いたな」

 ひろしが空を見たままで言った。

「ビールで良かったらありますけど」

「良いね。ご馳走になろうかな。山の中で、夜空を見ながら一杯やるなんて、オツなもんだ」

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