17p

「そう思うよ。ダメかな。おかしな考え方かな? 僕はおかしいのかな?」

「…………」

 さなぎは、何も答えられなかった。

 そう言う、ひろしの顔が、悲しく見えたからだ。

 ひろしが実際に、悲しいと感じているのかは、さなぎには分からない。

 ひろしを見るさなぎが、そういう目で、ひろしを見ているから、そう見えるだけなのかも知れない。

 この人は悲しいそう。

 その人は嬉しそう。

 全ては、そう感じた側が、そう思うだけで、本当はどうなのかは、本人以外、分かりはしないことだ。

(変な人だわ。理由無く死にたいなんて。ひょっとして私、この人に、からかわれているのかしら? それとも、誤魔化している? 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る