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ひろしは上目遣いに、さなぎを見て、そして、右側の口角だけを上げてみせた。左右非対称の、微妙な表情だった。
「見えないです。失礼だったらすみませんが、随分と落ち着いていらっしゃいますよね? 私も、アナタが来る前は、少しは落ち着いていましたけど、心底落ち着いていた訳ではありません。アナタは、どうして、そんなに落ち着いて……いいえ、そんなに呑気な風何ですか?」
正に失礼な、さなぎの発言に、ひろしは声を上げて笑った。
「呑気か! ははっ! そんな風に見えるかい? いや、でも、そうだね。死ぬ気だけど、僕は呑気だよ。流石に死ぬことを考えてる時くらいは、もっと深刻になったりした方がいのかも知れないけど、ダメだね」
ひろしは、そう言うと空を見上げた。
つられて、さなぎも空を見る。
二人が見上げる空に、光の残像が走る。
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