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 下りて来たものの、さなぎは気まずくて、男と視線を合わす事が出来ない。

 何しろ、夜に、こんな所で、セーラ服姿の女の子が一人、木の上で、ビールを飲んでいるのだ。

 しかも、その木の枝には、さなぎが結び付けたロープが、不気味な存在感を持ってぶら下がっている。

 ここは、山の中。

 都市化が進んだ近代的な町の真ん中に、不釣り合いに存在する山。

 今は夏で、濃い緑色の葉を付けた木々と、可憐な夏の花々が、さながら、大事に織られた絨毯の様に咲いている。

 山は、生命力溢れる気で満ちていた。

 そして、今は夜。

 見上げれば、雲一つ無い空に、星が、宝石をちりばめた様に輝いている。

 美しい、素晴らしい夜。

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