第20弾 『ラ=イフ・リング』
『ラ=イフ・リング』。『バレール』の町の地下にある世界最大級の洞窟だ。観光名所でもあるが、真の姿は未だに全貌が解明されていないダンジョンである。
『ラ=イフ・リング』へ行く途中にムイルが自信満々に話してくれた。
「『ラ=イフ・リング』はね、世界最大級の自然発生型ダンジョンでもあるんだ。主にダンジョンには二種類あって、遥か昔に魔族や天使族、時には人間族が作ったダンジョンが創造型ダンジョン。元々あった洞窟なんかに魔物が住み始めたのが自然発生型ダンジョンなんだ」へえ。ダンジョン一つとっても奥が深いな。
「自然発生型ダンジョンに誰かが手を加えた混合型ダンジョンなんてのもあるけど、かなり珍しいよ」そいつは面倒くさそうだ。
そんな事を話している間に『ラ=イフ・リング』に着いた。結構な人混みだ。
「結構人がいるな...」思わず声に出た。
「そりゃあそうだよ。だってこの町の最大の観光名所なんだから」
入り口は柵で閉じられており、手続きをすると入れるようだ。
「何で列が二個あるの?」
「片方は観光客用、もう片方はダンジョン攻略者用だからです」この二人超便利
だ。
「じゃあ俺達は、ダンジョン攻略者用の方に並ぶってわけか」
「そういうこと!」
並ぶ事十分。わりと列は長かったのだが、結構サクサク進む。担当の人がいいのか? いつの間にか、列の先頭まで来ていた。
そして俺達が列の先頭で見たものは、
「あなたは!? 買い取り屋のお姉さん!?」買い取り屋のお姉さんだった。
「...おや... いつぞやの...」
「なんでここに居るんですか?」
「...私は... 色んな所を点々と... してるんです...」そうだ、この人も『鑑定』で見てみよう。
名前·××× 種族·××× 性別·××× 職業·××× ランク·××× Lv.×××
攻撃·××× 防御·××× 身体·××× 治癒·××× 魔耐·××× 魔適·××× 精神·×××
スキル ××× ××× ××× ××× ×××
うおっ!? バツばっかり!? こんなの初めてだ。一切ステータスがわからない。『鑑定』のレベルが上がると見れるようになるのかもな。
「...はい。じゃあ、この書類にサインを...」喋っているだけで死にそうだ。さっさとサインしてあげよう。
「...では、どうぞ-...」お姉さんは洞窟の入り口の柵を開ける。俺達四人が通ると入り口はすぐに閉じた。
「さて、行くか...」俺達はダンジョンに入っていく。まるで巨大な魔物の中に吸い込まれてゆくように。
ダンジョンの奥へ進みながらムイルと話す。
「そうだ、君達は魔物の事をあんまり知らないんだよね?」
「ああ、そうだな」あんまりというかまったく知らない。
「魔物にはレートがあってね、下からD、C、B、A、S、SS、SSSなんだ。このダンジョンには確認されている限り最高Sランクの魔物がいるよ。まあ、本当はもっと高レートの魔物がいるだろうけどね」さらっと怖い事言うな。
「それって強いのか?」
「Dレートの魔物は戦い方によって普通の人でも勝てる。Cレートの魔物はレベル5ぐらいが必要。Bレートならレベル10ぐらい。Aレートは25ぐらいかな? 僕もAレートは一回しか戦った事ないからね。勝ったけど」
「お前ってレベル21だよな? それで本当に勝てたのか?」
「失礼な。さっきも言ったとおり、戦い方だよ、戦い方。でも、Sレートは最低レベル50無かったらダメだね。SSレートを倒すには、人類の到達点と呼ばれているレベル100を越えないとダメらしいよ」俺達もう人類の到達点の半分きてるんだが。
「今まで人類でレベル100にたどり着いたのは、西の方の町を救ったと噂の『勇者』ぐらいだね」出た『勇者』。そんなに有名なのか?
「SSSレートはそれ以上。でも、通常の魔物ならごく僅かな例外を除いてSレートまでしかいないよ。SSレートなんてだいたい神か魔王の眷属だし、SSSレートはそれこそ神や魔王クラス。まあ、戦う事はないだろうね」
「ごく僅かな例外ってどういう事だ?」
「魔物には通常種、変異種、希少種の三種類がいるんだ。変異種は通常種が他の魔物を取り込んで変化したもの、希少種は一つの種類の魔物の中でも特に珍しい個体だよ。この二種は、見た目が違ったり、レートが変化したりする」
「ああ、アルビノ個体みたいなもんか...」
「? なんだい? それ」
魔物の説明をされながらも、俺達はどんどんダンジョンの奥へ奥へと進んで行く。
――探索限界の場所へと、近付いてゆく。
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