第10弾 買い取り屋

ドラゴンの角やらを換金するため、俺達は再び冒険者ギルドに来ていた。

「ムファンさんはどこだ...」取り敢えずムファンさんを探す。何だかんだ言って頼りになるからな、あの人は。

「あ、いたいた。ムファンさーん!」ムファンさんは冒険者仲間と酒を飲んでいた。実に楽しそうだ。「そこで俺は言ってやったのさ!『カウンターはあそこだぜ』ってな!」あこれ俺達の事だ。

「おう、昇か。どうだ? 冒険者になれたか?」

「はい、お陰様で。ところで、このギルドでモンスターの素材を換金してくれる場所があるって聞いたんですけど、どこに行けばいいんですか?」

「ああ、買い取り屋の事か! それならあそこだ。何でも買い取ってくれるぜ!」

「ありがとうございます。早速行ってみます」

「あ、ちょっと待て昇。お前、この町に来たばかりでまだ宿屋も見つけてないだろう? なら、『コルト』っていう宿屋がオススメだ。安いし飯はウマイし、しかも部屋の壁が厚いんだ」

「壁が厚いことの何がいいんですか」そう言うとムファンさんは俺に耳打ちしてきた。

「夜に『そういうこと』してもバレにくいってことだよ」何を言い出すんだこの人は。発送が中学男児並だ。

「何が『そういうこと』ですか。ムファンさんはしたことあるんですか?」

「あはは。ない」あはは。じゃねえよ

「まあ、お前も大人の階段を登るんだな... 宿屋のオバチャンには俺から連絡しとくからさ...」連絡しなくていい。

「じゃあ、僕達はこれで」ムファンさんは何も言わずにただ笑顔でサムズアップしてきた。うぜぇ。

「取り敢えず、買い取り屋に行くか」


買い取り屋では、白髪のお姉さんがカウンターに突っ伏していた。

「うわっ、大丈夫ですか!? 七花、誰か呼んできて!」

「大丈夫です... ようこそ... 『マーズル』の買い取り屋へ...」お姉さんはゆっくりと体を起こした。何かとは言わないが豊満なソレがこぼれそうになっている。

「これを買い取って欲しいんですが」ドラゴンの角と鱗を見せた。

「西の竜の角と鱗の欠片ですか... これは高値ですよ... 買い取り金額はこの位です...」お姉さんが提示してきた紙には、『1500000バレツ』と書かれている。

『バレツ』とはお金の単位だろうか。

「これってどのくらいなんですか? 何分、田舎者で...」

「そうですねぇ... まあ、お二人で一ヶ月は余裕で遊んでくらせますよ...」

「そんなに!? なぜそんな高値に?」

「モンスターの素材というのは、魔力が通っているんです... これらは、欠片でも非常に魔力が高い... ぶっちゃけ、これでも元取れます...」

「あ、じゃあ買い取って下さい」即決だ。悩んでいる暇はない。

「じゃあそこに素材置いといて下さい... どうぞ、1500000バレツです...」

お姉さんは金貨のたっぷり詰まった袋を渡してくれた。

「ありがとうございます。じゃあ、貰っていきますね」

「毎度ありー... 一応、アフターサービスはつけといたんで... その内わかると思いますけど...」なんの事だ?

「? まあ、ありがとうございます」

お姉さんにお礼を行って、俺達はギルドを後にした。

――この後に思いもよらない事が起きるとも知らずに。

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