第7弾 ギルド

優しい?ムファンさんに教えてもらって、俺達はギルドのカウンターにやって来た。

「初めまして。僕達、冒険者になりたいんですが、手続きをお願いできますか?」

「ああ、旅人さんですか。ようこそ、『マーズル』のギルドへ。手続きは簡単なものですよ。ステータスプレートを拝見しても?」受付嬢さんが聞いてきた。

「もちろん。どうぞ」俺と七花はステータスプレートを見せた。あ、これ見せて大丈夫か?

受付嬢さんの顔色が変わった。明らかに顔面蒼白になって震えている。

「た、旅人さん... これ、本物ですか...?」ヤバい。何か偉い人とか出てきそう。

「ちょっと待ってて下さい」そう言って受付嬢さんは奥へ引っ込んでった。これガチのやつだ。逃げる準備しとくか? 今日何度目だよ。

しばらく待っていると、再び受付嬢さんがやって来た。

「お待たせいたしました。いきなりで悪いのですが、旅人さんとの面会を町長が求めています。応じてくれますか?」ハイ詰んだ。YESと答えるしかないでしょ。


俺達は、応接室のようなところへ通されていた。俺と七花の前には、テーブルを挟んで初老の男性(多分町長)とメガネの女性(多分秘書)が座っている。受付嬢さんはそのそばで立って控えている。無言なのが怖い。

「どうぞ、お座り下さい」初老の男性が座るようにうながしてきた。言葉には有無を言わせぬ重さがある。

「じゃあ、失礼して...」俺達はソファに腰かけた。七花が小声で「フカフカだ」と呟いている。お前余裕かよ。

初老の男性が喋る。

「初めまして、旅人さん。私は町長のムプイハと申します、こっちは娘で秘書のムプニハです」おい。身内か。それでいいのか。

「まず、いきなり面会を求めたことを謝罪します。申し訳ありません。それと、面会に応じてくれたことに感謝します」まあね。応じなきゃいけない雰囲気だったからね。

「さて、今回面会を求めた理由ですが...」来たか。何を言われるんだろう?

町長と秘書と受付嬢は、そろって土下座して俺達に懇願してきた。

「「「どうかこの町をお救い下さい!!! 勇者様!!!」」」

どゆこと?


「ま、まあ、顔を上げて下さい。このままじゃ話しにくいですし」

「! 私達と対等に話してくれるというのですか! なんとありがたい心遣いでしょう!」いちいちリアクションが濃い。

「それで、『勇者』とは?」取り敢えず説明を求める。すると、町長は土下座から頭だけを上げた状態で話そうとした。それはちょっと気まずい。

「せめて、座って下さい。そのほうが落ち着いて話を聞けるので」

「なんと! 勇者様と同じ高さの目線になることを許して下さるのですか! ああ、なんと慈悲深い...」上に見られ過ぎてて反応に困る。何とかソファに座らせる事に成功した。もう大分疲れた。

「『勇者』とは?」何回言わせるんだよ。

「その事なのですが、ここではなく教会へ行ったほうがわかりやすいかと。着いてきてくれますか?」どんだけ引っ張るんだよ! 日曜夜の恐怖番組か! 引っ張るだけ引っ張っといて結局何もないやつね。

取り敢えず、教会へ行くことになった。あと、今気付いたけど、七花ずっと寝てたな。どんだけ神経図太いんだよ。




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