懺悔2
過疎化の進む村で村人は三十人ほどの小さな村というより集落と言うべき生まれでして、その集落は老人ばかりで若い者が多くありませんでした。
思春期を迎えて盛りのついていた私は恋も性交も経験することなく二十歳を迎えていました。
しかし、そんな過疎化の進む集落になんの手違いか若い女性がやってきたのです。
その女性は目を奪われるほど美しく艶やかで集落の男性たちは皆、虜になるほどの美しさでした。
私は来る日も来る日も彼女を見るためだけに集落を散歩し、彼女を遠目に眺めていました。
彼女は誰に対しても優しく接してくれて集落の男性は彼女を見つけては声を掛けていました。
しかし、いままで恋をしたことも、年の近い異性とも話したことのない私は彼女に話しかけることができませんでした。
それなのに彼女に親しげに話しかける男共に私は嫉妬をしていました。
私のそんな感情とは裏腹に彼女は色んな男性に声を掛けられ楽しそうに微笑む姿に気が狂いそうでした。
そんなある日、こんな私にチャンスが訪れます。
彼女は飛び出していた木の幹に足を取られて転んでしまい、荷物を地面へとぶちまけていました。
その時、珍しく辺りには誰もいなく、必死に荷物を拾う彼女に私は勇気を振り絞り声を掛けることにしました。
「だ、だだ、大丈夫ですか?」
僕はこの言葉を正しく発音できていたのかすら怪しくくらいに緊張しながら声を掛けました。
「ありがとうございます。大丈夫です」
どうやら通じていたようで私は安堵しながら彼女の透き通るような美しい声に惚れ惚れしました。
「て、て、手伝います」
なにか気の利いたことを言えればよかったのですが私はそれだけたどたどしく言うと荷物を拾うのを手伝いました。
荷物を拾い終わるまでの時間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。
私はなにか話さなければと言う気持ちで焦れば焦るほど何も話せませんでした。
私は自分の愚かさに後悔しながらこんな機会は二度とないだろうと絶望していると彼女が私の目を見つめて言いました。
「助かりました。何かお礼をさせて下さい」
私は彼女の純粋な心に言葉を失いながらもなんとか頷くことだけできました。
その晩、私は寝付けないほど興奮したことを覚えています。
彼女と話すことができたことですら天に昇るような気分なのにまた会う約束までできたのですから。
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