懺悔

真白世界

懺悔 1

ある嵐の夜に町外れの教会に男と思しき人物が訪ねてきて懺悔室に座っていた。

カーテンに限られて向こう側を見ることができないがその男の体臭は異様なほど臭った。


ホームレスか何かだろうか?声からするとまだ若い男性の様に感じられるがそれ以外に相手を判別するものなど一切なかった。

神父は鼻が曲がりそうな匂いで息がつまるのを悟られない様に注意しながら話を始める。


「我が神のいつくしみは全ての罪を許します。あなたの罪を告白して下さい」


「神父さまはいかなる罪ですら許してくださるのですか?」


「私が許すのではありません。私を等して神は全てを聴き、そして私が我が神の言葉を代弁してあなたが罪を悔い改め、償うことにより我が神は如何なる罪も許します」


「神は寛大で大きな心をお持ちなのですね。そしてあなたの信仰心はとても偉大です」


「常に我が神は私たちの側にいて見守ってくれているのです。ならば我が神を信仰し敬うのは自然なこと。大したことなどしておりません」


「ああ、なんと素晴らしい信仰心。是非、あなたに私の犯してしまった過ちを聴いていただきたい」


「では、あなたの罪を告白してください」


「その前にお願いしたいのですが私がどんな話をしても逃げ出さずに最後まで聴いていただけますか?」


「我が神に誓い、最後まで聴き遂げることをお約束いたします」


中々、告白しない男に対して怒ることもなく神父は親身に耳を傾ける。


「おお、なんと高等な信仰心であることでしょう。約束ですよ」


「ええ。ではあなたの罪を告白してください」


「是非、あなたにそしてあなたの神に聴いていただきたい。わたしの犯した罪の告白を」


嵐は一層と増していくことに気付くことのない神父はこれからこの男の告白の暗雲にまだ気づいていなかった。





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