第27話 誰にも言えない秘密、教えてください

怪訝そうな表情の柴田君を見て、会社の外だと色んな表情を見せてくれるようになったもんだと、少しだけ優越感を感じた。


「民の音って、普通のチェーンのとこですよ?」


ジャケットとマフラーの分厚い柴田君は、そのまま私の向かいに座った。


「うん、知ってるよ。」


「あの、選んでいただいて申し訳ないですが、もうちょっとマシなとこ行きません?」


「クリスマスだからマシなところは多分空いてないよ。お店探しに歩き回るのは嫌だよ。」


さっき買ったラテを飲みながら言うと、柴田君は少し躊躇いながら言った。


「俺、いいとこ、知ってます。でも、条件があります。」


私が首をかしげると、柴田君は真剣な眼差しで続けた。


「誰にも言えない、マジな秘密を教えてください。」


・・・はぁ?


「言うわけないじゃん。そんなこと。」


この人、やっぱりよくわからないかもしれない。


「絶対俺誰にも言わないですから。」


日本酒飲まされたり、なんでいつもトレードしなきゃいけないのよ。




「急に何なの?意味わかんない。」


「後でわかりますから。」


そんな真剣な眼差しを向けられても、意味がわからないし、急にそんなこと聞かれたところで、思いつかない。


そして自分の手が視線に入ると、思いついたのだった。


誰にも言えない、秘密。

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