第27話 誰にも言えない秘密、教えてください
怪訝そうな表情の柴田君を見て、会社の外だと色んな表情を見せてくれるようになったもんだと、少しだけ優越感を感じた。
「民の音って、普通のチェーンのとこですよ?」
ジャケットとマフラーの分厚い柴田君は、そのまま私の向かいに座った。
「うん、知ってるよ。」
「あの、選んでいただいて申し訳ないですが、もうちょっとマシなとこ行きません?」
「クリスマスだからマシなところは多分空いてないよ。お店探しに歩き回るのは嫌だよ。」
さっき買ったラテを飲みながら言うと、柴田君は少し躊躇いながら言った。
「俺、いいとこ、知ってます。でも、条件があります。」
私が首をかしげると、柴田君は真剣な眼差しで続けた。
「誰にも言えない、マジな秘密を教えてください。」
・・・はぁ?
「言うわけないじゃん。そんなこと。」
この人、やっぱりよくわからないかもしれない。
「絶対俺誰にも言わないですから。」
日本酒飲まされたり、なんでいつもトレードしなきゃいけないのよ。
「急に何なの?意味わかんない。」
「後でわかりますから。」
そんな真剣な眼差しを向けられても、意味がわからないし、急にそんなこと聞かれたところで、思いつかない。
そして自分の手が視線に入ると、思いついたのだった。
誰にも言えない、秘密。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます