chapter5:この残酷な世界へ

chapter5-0:『怪人』



 ―――「ヒーロー」と、「怪人」。



 それらはこの新暦の社会において「正義」と「悪」というステレオタイプな分類で、区分けされてきた。

 ヒーローと、怪人。実際のところ、「因子によって変貌した異形」というその実態は変わらない。だが容姿が、言動が、行動が。



 ―――ヒーローは皆を護ってくれる正義の味方なのだから、善に違いない。


 ―――怪人は醜悪な見た目をしていて人を襲うのだから、悪に違いない。


 そんな思い込みを、この都市……ひいてはこの世界に住む殆どの人に刷り込んだ。

 けれど。




「―――どうか、お願いします」

 


 普通の人や、動物がそうであるように。

 個体ごとに性格も、考え方も違うし、何を目的として生きているかも違う。


 善か悪か、それもそうだ。


 なにせ今は、悪事を働くヒーローが跋扈する世の中なのだから。



「僕らを―――」


 だから……、



「『怪人』を、ひとつの人種だと……同じ人間であるのだと、認め―――」





 愛と、正義と。


 平和を謳う怪人だって、当然産まれるのだ。





 ―――Chapter5:この残酷な世界へ

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