第3話
はずかしい……
こういう扱いは違和感しかない。
しかし、それ以上に自分の今の格好が問題だ。
私は今ネグリジェから!着替えてない!
恥じらいくらい私には残っている。
知らない青年2人に晒す姿ではない。
私は居心地悪そうに身じろぎをする。
「おはようございます。神よ。お目覚めを心待ちにしておりました 」
私の恥じらいはどうやら伝わっていないらしい。
勇者様の方が挨拶をする。
起きたばかりの人に朝の挨拶するのは間違っていないが、この状況で冷静にされると何か違う気がする。
「おはようございます。皆さん、頭を……上げて下さい 」
一瞬迷った。
だってこの姿を見られるのだから。
それでも、ずっと頭を下げてもらっているのもおかしい気がする。
「はい 」
そう答えると3人とも顔を上げる。
『わー綺麗 』
まぶしくって辛い。
涙が出そうだ。
「そのように畏まらないで下さい。体勢も楽にして下さい。言葉も普通でいいです。何もしていない私にそのようなことをする価値はありません 」
「最後の一文余計だが、その言葉に従おう 」
勇者様はスッと立ち上がり言葉をすぐに変えてきた。
それに習うように残りの2人も立ち上がる。
切り替えが早い。
「事実です。神だと崇められても、私には何もありません。何も与えられません 」
「存在が……」
「存在が尊いんだよ?貴女は居るだけでいいから 」
「しかし……」
「分かった?」
「……はい 」
勇者様の言葉を遮って王子様がニッコリと笑顔で言う。
優しそうなその笑顔は謎の迫力がある。
反論しようとしたが、一層笑顔で問いかけられれば「はい」以外の返事はできなかった。
「なあ……」
「ん?」
「俺の言葉遮ったな?」
「うん。僕も話したかったからね 」
悪びれず笑う王子様を勇者様が睨みつけ、謎の火花を散らしている。
とても仲がいいらしい。
『果たしてアレは会話だったのか……?』
心の中で疑問を呟く。
「会話じゃなくて、脅しよね 」
心を読まれた!?
美女の言葉にバッと顔を向けると、ニッコリと微笑まれる。
「顔に出てたわ 」
その言葉にドキッとし、顔を手で覆う。
恥ずかしい。
どうやら私の表情筋は働き者らしく、余分に働いてくれる。
「……そろそろ、説明して頂いても宜しいでしょうか?」
苦しまぐれの話題転換を図る。
「……言葉」
「はい?」
「俺達だけ言葉を崩している 」
勇者様にムッとした様子で不平等だと訴えられた。
「あ、忘れてた。そうね。不平等ね 」
これで満足かな?と言わんばかりに言葉を崩せば3人とも嬉しそうに笑う。
犬かな?
おっと失礼なことを考えた。
詫びよう。
「それで、説明をしてくだ…ちょうだい?」
一瞬勇者様にキッと睨まれたが言い直したら満足そうだ。
やはり犬かな?
「私が説明するわ。男共に任せていると進まないもの 」
『いやいや、さっきガバガバな説明したの貴女じゃん 』
「先ほどの名誉挽回も込めて 」
「あ、はい 」
先ほどから心が読まれている気がする。
あと、先ほどのお姫様抱っこといいなぜかこの美女には逆らえない気がするのだ。
美女は、おっほんと咳払いをすると掛けていない眼鏡をクイッと上げる動作をする。
「それでは説明させて頂きます。まず今ここは地球の日本の2041年の8月です 」
「はい 」
授業が始まった。
口調も変えてきている。
「この世界では大気中の魔力を使った魔術が科学的と融合し人々の生活を支えています 」
「はい?」
まじゅつ?
初めから躓いた。
そしてここから私の知らない知識がツラツラと並べられることになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます