3日目 素麺


 今日のお昼ご飯は素麺だ、そうめん。あの白くてニュルニュルした麺。そうそう、めんつゆにつけるやつね。


 僕は正直素麺が嫌いだ。夏場に母がバテると毎日のように食べさせられるあの白く細長い麺。途中から蛇のように見えてくるんだよなぁ。本当に、心の底から思う、気持ち悪い。



『あー! そうめんだ!』


「……いる?」


『え、良いの?! 私のうちね、毎年夏になると流しそうめんやるんだー! だから好きなの!』


「へぇ……」



 素麺嫌いにはちょっと……遠慮させていただきます。たとえ、誰しもが一度は憧れるあの流しそうめんであっても。本当に嫌だ……うげ……。この17年間で何回食べたのかもう既に分からないくらい胃のなかに入っていったアイツ、僕はちょっとやそっとのことじゃ許せないんだよな。



『ちょっと、興味ないんでしょー』


「だって……あれ蛇に見えるじゃん……」



 白くて長くてニュルニュル。しかもうちの素麺ときたら、限り無くうどんに近い、そんくらい太いんだよ……。

 


『きっと一緒に食べれば好きになるよ』







 素麺がちょっと好きになった。



 素麺より彼女がもっと好きになった。






 




 ──そんな彼女は今日もまた夏の日差しに透けている。

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