工業高校生御用達資格! 「危険物取扱者」
工業高校というのは資格が取得できる。
取得できる資格は多種にわたり、学科ごとに特色のある資格を取得することもあれば、ちょっと冒険して他の学科が取得するするような資格を勉強して取得する人もいる。
俺が通っている機械系学科も例外ではなく、「技能検定」という国家資格から「品質管理検定」という資格、更には電気・電子系学科の生徒が受験するような「電気工事士」や「特殊無線技士」といった資格を取得できる。
だが、工業高校で取得できる資格の中でも王道的で、必ずと言っていいほど各工業高校で取得を推奨する資格があるのだ。
その資格とは――「危険物取扱者」という資格である。
こちらの資格をざっくり説明すると「消防法で定義された危険物を取り扱う事ができる資格」だ。
この資格、調べれば調べるほどとてもメジャーなもので、特に危険物を貯蔵し取り扱う会社にとっては必要不可欠な国家資格だ。
この危険物とは実際に私たちの生活に必要不可欠な物品があり、代表例を挙げるなら、自動車等の燃料となる「ガソリン」、冬場俺たちの体を温めるために使用する石油ストーブに使用する「灯油」、そして俺たちの食卓に出てくるであろう「動植物油類」などといったものがある。
他にも学生なら分かるであろう体育の授業でプールに入れる白い粉――消毒剤の原料の一つである「次亜塩素酸ナトリウム」というものまで危険物指定になっている。
これだけ日常に溢れる危険物を取り扱う資格を大半の資格を工業高校生は取得しているのだ。
事実俺も危険物取扱者を取得している訳だが、工業高校生はあたかもトレーディングカードを集めるように危険物取扱者を取得している。
危険物取扱者には種類があり、難易度順に甲・乙・丙種があり、更に乙種には一類から六類の六種類があり、工業高校生は主にこの乙種を集めている。
基本的に工業高校は乙種四類を生徒全員に受験をさせている。
そして、乙種四類を取得した人の中に他の類を受験する人もいるのだ。
しかしこれを読んでいるあなたは一つ疑問が浮かぶだろう。
「危険物取扱者はそんなに簡単に色々な類を取得できるのか?」と。
それが――できるのです。
危険物取扱者という資格は「法令」、「物理・化学」、「性質・消火」の三つの分野があり、それぞれが合格点を満たすことによって合格となる。
各分野ともそれなりに覚えないといけないので、落ちる人は多いのだ。
実際俺自身は恥ずかしながら物理化学が苦手で二回ほどその分野を落として不合格となっている。
しかし、この危険物取扱者の乙種のどれか一つでも合格してしまえば、次回他の類を受験する際に「受験免除」が発生し、「法令」と「物理・化学」の二分野が免除になり比較的簡単に受験できるのだ。
だからこそ工業高校生はこぞって危険物乙種を全種そろえたがるのだ。勿論俺自身もその中の一人に入っている。
危険物取扱者の「性質・消火」分野は十問しかなく、危険物取扱者試験の免除を受けている人はたったこの十問を受験して合格すれば晴れて新たな類の危険物取扱者となれるのだ。
正直工業高校生のステータスの中に「危険物取扱者」は入っているかもしれない。
実際に俺が通っている工業高校では、
「お前危険物どれくらい持ってるー?」
「俺、危険物乙種は全部集めたぞ」
「マジか⁉ スゲーな、おい」
といった会話は危険物取扱者の合格発表があった時や、日常的にそれとなく話内容の一つになっている。
余談だが仮に誰かが「危険物取扱者甲種」を取得したときは、生徒に限らず教師も騒ぐのは言うまでもない。それだけ「危険物取扱者甲種」は難しいのだ。
因みにこの危険物取扱者の受験料は今現在四五〇〇円で受験でき、数多の国家資格の中でも比較的受験料が安い。
しかし、気が付いた人もいると思うが、受験免除を受けて新たな類を受験している人にとってこの値段は暴利的だろ、と思うだろう。
確かにそうだ。だってたった十問の為に受験料四五〇〇円支払うのだ。一問あたり四百五十円という計算になる。
正直ソシャゲの十連ガチャを回すために課金する金額より高いと言えるだろう。
だがしょうがない。
危険物乙種をそろえるのは工業高校生にとっては――ロマンだもの。
そう、俺達工業高校生はトレーディングカードを集めるみたいに危険物取扱者乙種を取得していくのだ。
他の高校生は恋や部活等で青春を謳歌するように、俺達工業高校生の青春は資格(主に危険物取扱者)取得が主なのかもしれない。
……少なくとも俺はそうなのかもしれない。
これを見て危険物取扱者を取りたいと思った工業高校生、是非じゃんじゃん取得してもらいたい。
そしてこれを見て少し興味を持たれた方も是非チャレンジしてもらいたい。危険物取扱者乙種四類色々な場所で使えるのでオススメの資格ですよ。
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