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『 』で 私は 勉強が できた
よく 天才 って 言われた
きみは すごいよ
きみの能力は 《 》 なのに 中学まで 1位で
でも 私だって 努力もしてる
勉強 してるの
ずるくない って
自己暗示 したいから
*
蟻のように人が
「
「そ、そんなへこむなよ。な?」
定期テストⅠの順位表が、廊下に貼りだされているらしい。
上位100位までの名前と、総合得点が明記されている。
1位は俺だと思う。
どの科目もB組でトップだ。失点はほぼない。俺が1位だろ。
自分以下の人なんて興味もねェ、
「俺は見なくていいって」
「いいから来いって!」
と思っていたのに、あっけなかった。
席が近くてよくつるんでいる
松橋はずんずん、その人だかりへ割り込んで行く。
「ほらっ夏芽2位じゃん! すげぇよ!」
総合963点、B組、
「は……?」
「すげぇなぁ!」
すげぇ、すげぇな。ほんと夏芽すげぇよ。すごすぎる。すげぇ~
松橋がすげぇを連呼する。
遠くに聞こえる。
もはや聞こえない。
「……2位?」
放心していた。
何度見ても、どう見ても『悠木夏芽』は2位だ。2段目にある。
なんで、どうして、俺は誰に——
『A組 佐倉佳乃』
上段は、知っている名前だった。
そう、あの女子だ。入学式で打倒すると決めた、黒長髪の赤眼鏡。
「え……な、夏芽?」
「……」
「いやいやいや! 2位ってすごいぞ!?」
「1番じゃねェ」
「1000点満点は論外だろ! 佐倉さんは天才だから」
「負けは負けだ」
「240人中の2位だからな!? 喜ぼうぜ!」
俺はただ、自分の頭の悪さに絶句しているだけだ。
1位だと思っていたその甘さと、佐倉佳乃を
「年にテストはたくさんあるし」
慰めも同情も、励ましも要らない。
俺は負けた。
「まだ高1だしさ」
負けないはずだ。誰にも負けないナツメは、どこ行った。
「ちなみに俺は120位だからよ! 教えてくれ勉強!」
喧嘩に負けないナツメは、勉強でも負けない。
ナツメ組の長は、負けないナツメだ。
「夏芽だって頑張っただろ?」
「頑張りと結果はちがう」
周りの小声は、佐倉佳乃を讃えている。
聞こえる。聞こえるだろこんな密集近距離じゃ。いたい。
痛かった。自尊心が。
逃げていた。
松橋の声を無視して、ちらちら見える木々の揺れに吸い込まれるように、教室へ、ベランダへ。
世界は100か0だ。1番じゃなければ、ビリ。
逃げないナツメも、強いナツメも、もう既にいないのか。
俺は、どこへ行った?
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