短歌・冬

春遠く瑞花音なく千切れ落ち路へ水面へ触れて消えゆく


古が今でありせば玉の緒も疾く絶えけむや結果見し冬


玉の緒も疾く絶えけむや世が世なら結果見つつ然ること思ひぬ


弔ふと死せる秋にや火を点けて僅か焦げたる電熱線


珈琲の指先へ沁む囁きぬ冬疾く来たり年も暮れるや


其の星と待降節を数ふれば日没もまた待ち遠しきや


サラ川を渡されて知る年の暮吾は変われしかとや振り向きぬ


新年と仕立し長着羽織りては遠き曾祖母思い出しけり


早緑の雨少なしや罅割れて手から鼻から赤滴れり


朝起きて覚ゆる違和で天気予報本日の空乱高下なり


春立ちて雪降り来るや衣更着の寒暖差に身を掻き毟り

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