雑俳・秋

お狐のはしゃぎて祝う嫁の入り


抵抗の横切ってった北の空


雨雲を重ねて重く夏の終わり


畔に踏まれ川面へ穂垂れ芒群れ


極早生の仄色つきたる夏の終わり


行く夏をざんざと追うて篠林


一面を毒と沈めよ曼珠沙華


燈々と人と照らされ菊の夜


冷え込みてコート出いたる紅葉月


帰る夏忘れ物でもしたのかい?


仄霞み火事や有らんと訝しむ


北陸は山にや有らむ通り雨



秋の暮れ釣瓶落として闇が来る


人臥して野分寄り来て街乱る


てふてふの眠りし祈りと戯れる


うねる海彼も見しかと目を澄ませ

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