1.1.3 不思議な出会い

生物飼育館では、その名の通り多くの生物が飼われていることがすぐにわかった。なぜなら、遠くからは鳥のさえずりが聞こえ、あの独特の動物たちのにおいがロビーに充満していたからだ。それゆえに飼育館というよりは、動物園と呼称した方が相応しいほどであった。


村上はゆったりと辺りを見回しながら、語った。

 「え~ここは、設備も多様な生物たちのために、それぞれの住みやすい環境になるように設けられています~。この特色溢れる飼育館は~、え~、一般入場も可能となっていますが、今は平日の朝なのでそこまで多くの来場者はいないですね~。御覧の通りここのロビーは吹き抜けになっていてですね~、見上げるとガラス張りの天井からは太陽光が差し込んでいますね~。これは2階で育てている植物のためなんですよ~。二階と屋上には植物類、一階には陸上で生活する動物と講義室、地下では水辺及び水中で生息する生き物を飼育してます~。」

村上は長い説明を終え、

 「え~それじゃあ、ここで今日は解散です。明日の9時にこのロビーに集合してください~。TK大学医学部と農学部合同での講義が早速行われますので、絶対に遅刻しないようにしてくださいね~。」


『応用生物科学課程』受講生徒の短い大学の初日は終わった。


エミは昨日よりも遅い時間に学校へ着いた。大体八時半頃だろうか、即座に例の生物飼育館へ向かった。その最中、キャンパス内を歩いていたエミは、前方から歩いてきた二人の大柄な男に声をかけられた。

 「君、これから飼育館行くの?」

彼は彫りの深い、まるでハーフのような顔立ちの短髪で高身長の男だった。

 「ごめんごめんいきなりさ、俺ら新入生でさ、ここのキャンパス超広いから俺ら迷っちゃってさ、朝の講義が飼育館であるって聞いたんだけど、一緒に行かない?」

 「い、いいですけど、まあ私もその講義受けるので、、ちなみにお名前は、、?」

慣れない同年代との会話にエミは戸惑っていた。

 「俺はタケル、この無口なのはケンスケっつーんだよ。おい、挨拶しとけよ、超美人だぞ?」

 「よろしく。」

ケンスケは短く相槌を打った。彼は前髪が長く、こちらからは彼の眼は見えなかった。背はタケルよりは低いが、エミよりは大きい。

 「私はエミ、よろしくね!」

エミはなぜかタケルという大男にそこはかとなく懐かしさを感じたが、過去を思い返す恐怖によってその感情は打ち消された。エミ達は生物飼育室のロビーへと向かった。


タケルとエミは話しながら歩きながらロビーへと到着すると、もう既に講義の始まる予定時間の9時になってしまっていた。講義室の前に立っていた村上から

 「急げ~名前書いたら指定の席着け~。」

と出席表へ氏名の記入を頼まれた。最後に講義室へ入ったケンスケが指定された席に着くと、部屋全体が暗くなった。


スポットライトに照らされて現れたのは、首都東京国際総合病院の院長、聖堂シンだった。

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