通り魔予告

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第1話

「今日、告白するから」


唐突すぎる予言。

今日も口の中を卵焼きの味で締めくくり、日常的な幸福を味わい尽くした…直前だった。

午後12時50分。

いつも同じ時間に私のお昼は終わる。密かな特技。

そんな私が目の前の友人の予言によって、一分オーバーしお昼を終えた。あーあ、前言撤回。こんなもの特技じゃなくなっちゃった。だって一回でもミスしちゃったら、それは特技とは言えないでしょう?

真下にはこれから私を幸福で包み込んでくれるはずの黄色い塊が、まだかまだかと期待の眼差しで私を見つめてくる。いつもならそんな眼差しに応えるように、愛おしさとともに焦らす間も無く口の中で転がすのだけど。


「卵焼き、食べないの?」


食べないけど、食べれないけれど、さ。


「なら貰うからね」


またもや唐突すぎる予告。予告殺人犯でさえもう少し早く予告してくれるんじゃないかな。これに名前をつけるならば、通り魔的予告にしよう。そうしよう。


「そんなに卵焼き食べられるの嫌なの?なら早く食べちゃえばいいのに。」


真下に半分残された塊のもう一方の片割れが、目の前の巣窟に吸い込まれてゆく。大切に大切に残し続けたものが、そこで咀嚼され崩落していく。


「あんた、そんなに卵焼き好きだったの?」


崩落まで約5秒。


「別に、泣くことないじゃん?たかが、」


たかが、たかが、たかが、たかが、たかがなんなんだろうね。

残された塊はボソボソで塩分70%の、失恋の味がした。

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通り魔予告 m @momoka76

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