矢山行人 十五歳 夏21

 その夜、僕は夢を見た。


 深い夜の病室のベッドの上に朝子が裸でいた。

 朝子は柔らかな体を僕に押しつけた。まだ膨らんでいない胸やすべすべな細い太ももが、僕を刺激した。

 朝子の小さな手が僕の体の部位を確認するように触れていく。

 肩、首、胸板、お腹……。

 どうやら僕も裸のようだった。

 彼女の指先が僕の勃起した性器に到達した。

 少しつつくように触れた後、朝子は僕の性器を優しく握った。


 僕は朝子を見た。

 暗がりで朝子は笑っていた。僕は彼女の細い肩に手を回した。

 僕の胸板に押し付けられた朝子の乳首は固くなっているのが分かった。彼女の乳首の形をもっと確かめたくて、僕は彼女を強く引き寄せた。

 それから僕と朝子はキスをした。

 唇が触れるだけのキスを何度も繰り返した。

 乾いていた唇が濡れてきて、吐息が漏れた。舌を絡めた。

 お互いの唾液が混じり合うまで何度もした。


 朝子の肩に置いていた手を僕は下へと滑らせて、背中と腰を撫で、お尻で手を止めた。朝子はまだ僕の勃起した性器を握ったままだった。

 しごくわけでも、握りに強弱を加えるわけでもなく、とても大切なものを扱うように手のひらで包んでくれていた。

 キスが終わると、朝子はお尻に触れていた僕の手を取って咥えた。

 丁寧に小指から順番に舐めはじめた。

 彼女の舌が僕の指の腹に当たる度に、僕の中にある快楽は刺激された。全ての指を万遍なく舐め終えると、朝子はもう片方の手に取りかかった。


 夢の中のはずの感触が朝子に舐められることで鮮明な生々しさを帯びはじめていた。僅かな汗の香り、唾液で濡れた指が空気に触れてひんやりとした感覚。

 それら全てが現実のものであるように思えてきていた。

 朝子はすべての指を舐め終えると、僕の固く勃起した性器から手を離した。

 僕は朝子に舐められた指を使って、朝子の体に触れた。

 細い肩、未熟な乳房、呼吸の度に上下するお腹、横腹、彼女の僅かに濡れた性器、太もも、足。

 僕は彼女の足の指にキスをした。

 小指から順番に、丁寧に、唾液まみれにしていった。朝子が震えるような吐息を漏らすのが分かった。

 全ての足の指を舐め終えると、僕は彼女の性器にも口づけをした。そこは先に触れた時よりも濡れていた。


 もう我慢できなかった。

 彼女の腰を少し浮かせて、僕は朝子の中に入れた。中はとても狭く、熱かった。

 苦悩な吐息を朝子が漏らし、夢の中でも人は痛みを感じるのだと思った。


 僕はしばらく動かず朝子を抱きしめていた。

 朝子が僕の首に手をまわしてきた。僕らは見つめ合い、一度キスをした。

 それから僕はゆっくりと腰を動かした。

 朝子が熱っぽいため息を漏らした。

 僕の腰の動きは徐々に早くなっていった。


 朝子の腰を抱えるようにして、僕は射精した。

 これまでに経験したことがない激しい射精だった。

 しばらく僕らはベッドの上で横たわって、息を整えていた。

 先に動いたのは朝子だった。

 僕の頬に触れ、「ねぇ未来予想図の話をしたの、覚えてる?」と言った。


 覚えてる、と僕は答えた。


「私の未来予想図は、お姉ちゃんと手を繋いで外を歩くことなんだ」


 それはとても簡単なことのように思えた。

「じゃあさ、その中に僕も混ぜてよ」


 朝子は薄い笑みを浮かべて、

「ベッドの中でも三人でするの?」と言った。


 それも良いね、と僕らはまた触れるだけのキスをした。

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