第10話 関係性こそが事物の本質であり正体である

 関係性が万物の本質であるとする縁観論とはいったいどのような仮説なのかここから詳しく説明してゆきましょう。

 縁観論ではこの世にある万物は礎点と即今縁で出来ていると考えます。点と点を直線で結んだ図を想像してください。それが礎点と即今縁の最小単位をイメージするものです。両端にある点は物質をひたすら細かく分解していったなれのはての姿です。質量もエネルギーもない礎点です。そしてこの二つの点を結んでいる直線が即今縁を表しています。

 即今縁とは二つの点の間に結ばれている今この瞬間の関係性です。「今この瞬間の」と限定するのは因果関係と明確に区別したいためです。

 因果関係は原因と結果が時間によって引き起こされる関係のことです。しかし即今縁は時間経過という要素を必要としません。

 「コインを投げたら裏か表が出る」というのが因果関係です。一方「コインの裏と表は必ず逆になる」という関係性が即今縁です。コインの表が上になれば裏は下です。逆にコインの裏が上になれば表が下です。この関係は因果関係とは言えません。「太陽が沈んだので夜になった」のは因果関係であり「太陽と夜は一緒に来ない」というのが即今縁です。

 何も起きていないがそこには確かに関係性がある。その関係性の事を即今縁と呼ぶのです。

 縁観論ではこの即今縁は実存すると考えます。私達の身の回りにあるあらゆる事物には即今縁が縦横に張り巡らされています。人間は即今縁を見て事物を認識しているのです。

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