第7話 核反応を起こすものには実体はない

 ではひとつの原子ならどうでしょうか。原子の固まりではなく一つの原子を取り出したらそれは物質であると言う事ができるでしょうか。そこに実体はあるでしょうか。

 縁観論ではやはりこれも実体がないと考えるのです。原子は核反応を起こします。核反応を起こすと言うことは別の原子になる事です。まったく別のものになるために関係を結び直すのです。そもそも原子は分解できます。分解できると言う事はやはりそこには実体がないのです。同じ理由で陽子や中性子などの粒子にも実体はありません。

 これでこの世にある物質のほとんどの実体を否定しました。あとは現代科学でこれ以上分解できないとされている素粒子が残るのみです。ここまでをまとめるとすべての物質は素粒子とその関係性でできていると言うことになります。

 しかし縁観論ではその素粒子にも実体はないと考えます。縁観論では物質の質量やエネルギーや体積は関係性にあると言う結論に至っているのです。従って少なくとも大きさや質量を持っている素粒子はまだ分解が可能だと考えます。分解が可能であると言うことはそこにあるのは関係性だけで素粒子の実体はないと言う事になります。

 縁観論は普段、物質だと思っているものは実体のないものであり、あるのは関係性だけだと考えます。人間も全ての生命も腕時計も金属も原子と素粒子もあらゆるものの本質は関係性であり物質を見るときにはその関係性を見ているのです。

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