第19話 胸が欲しい
俺はそっとイチゴに折り重なるようにして覆いかぶさる。
「いやぁ」
子猫が泣くようにイチゴは拒むが、それでいて体は喜んでいるようだった。
「大丈夫。優しくするから」
でも、湧きおこる情欲を前にして、俺は正気を保っていられるか心配だった。
それまでにイチゴの肌は美しかった。
乳白色の大理石を思わせる、滑らかな肌。
磨けば磨くほど艶が出ると言いたくなるほどの、輝かしくも艶めかしい体の輪郭。
俺はそっとイチゴの胸に手を伸ばす。
体から零れんばかりの胸が、弾力を出しながらイチゴの小さな体の上で荒れ狂っている。
俺はイチゴの胸を手の中で包み込む。
しかし、大きすぎるイチゴの胸は俺の手の中には入り切らない。
「さきっぽ、だめなのぉ」
ダメと言われていじくりまわさない男があろうか!
俺は喜び悶絶するまでイチゴの胸を――
「なにしとるだぁあぁあぁあぁあぁ!」
俺は再び鈍器で頭を殴られる。
「これがなぁ、ドン・キホーテで殴られる方が数段マシなんだよな」
「何を読んでるのよ! 声出さないでよ!」
100人いる幼馴染の1人である苺が文句を言ってくる。
「別にいいじゃねえかよ。かいらくてんびーすとの朗読くらいよ!」
「ダメに決まってるでしょ!」
俺の頭は予想以上の衝撃で宇宙の端まで飛ばされる。
「1888年人斬りジャックだと……!?」
俺は苺の手にしていた凶器を見る。
そこには俺の脳髄の欠片が付着しており、苺の狂気が垣間見れた。
「角川め! よくもこんな人殺しに凶器を――」
「でも、カクヨムはカドカワグループが運営してるわ」
「すいません。角川さん。コイツが悪いんです。こいつの胸がないから――」
ぐしゃり。
貴志祐介先生原作の『黒い家』は作者、とっても評価してるぜ。
角川映画のくせに、よくやる。
「なにを偉そうなこと言ってるのよ」
いや、頭をトマトのようにぐしゃぐしゃにされたら、なにも言えませんがね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます