第10話 よろこび も かなしみ も みんな このまち に


「くっ。息子魔法の神髄がこれほどのものとは」



 俺は100人いる息子の一人に、生まれて初めて敗北した。



「そのネタ、いつまでひっぱるんだい?」


「じゃあ、お前はなんなんだよ」


「だからジョ――」


「俺の名前を言ってみろぉ!」



「君の恋「俺の名前を言ってみろぉ!」」



「ねえ、コイツを黙「俺の名前を言ってみろぉ!」」



「もう、帰って「俺の名前を言ってみろぉ!」」



「なるほどね。多くの刺客たちがあんたに負けたのもよく分かったわ」



「なに。あいつらより俺の方がひと皮むけてたってことさ」



「下ネタはほっといて。今日はただ、あなたに最後の別れを言いに来ただけだから」


「なん……だと……?」



 エロゲのお別れえっちか?



 あれ、絶対泣いちまうんだよな。



「殺すわよ?」



「今まで散々殺しておいた人々はどうするんだ!」


「今一会話がつながってない気がするけど」


 それはいつものことだ。


「お前が殺した村人たちはこれからどうやって生きて行けばいい!」


「いや、殺したんだったら、死んでるでしょ。生きてないでしょ」


「冗談が通じねえな」


「多分、こんなかで一番冗談が通じないのはあんただと思うけど」



 そんなこたぁない。



 これでもF1マシンなんだぜ。



「F1ザウルス!」



「わたしはメテオ一族とともに行くわ。だから、もうあなたたちと何のかかわりもないし――」







「――もう戦わなくてもいい」







 俺たちは家に帰って宿題を始める。



「宿題ってなんだよ。ったく、即死しちまえよ」


「お前が即死させる側だろ。一度死ね」


「そうだな。女の子を色んな意味で即死させたいよな」





 そう。



 俺の日常にはもう、女の子はいない。



 唯一の100人いる幼馴染の一人の女の子は、もう、俺の前から姿を消してしまった。



 だから、俺にはもう、女なんて――





 そんなとき、地球を破壊するほどのメテオが落ちた。


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