第9話 かくせい しない よね
俺たちはのんびりと道中を急いでいた。
「ものすんごく矛盾してるぜ。一度死ね」
「今さらだろう」
「そんでどこに向かってんだ?一度死ね」
「夕日に向かって走るのさ」
「……一度死ね」
「一度、地上に来てみろよ」
俺は天高くそびえる魔王の城を指さす。
「絶対あれがラスボスんとこだって」
「そんな分かりやすいわけがないだろ。一度死ね」
「御名答よ――」
「お前は――」
俺たちの前に再び姿を現したのは、黒くて際どい衣装に身を包んだ100人いる幼馴染の一人、奈々未だった。
「おい、奈々未。その格好は――」
「そう。わたしは敵の軍門に下ったの」
「貧乳がしていい服装じゃねえ!」
ビキニアーマーはな、巨乳が着てこそ意味があるんだよ。
「服からちょっとはみ出るお肉が最高なんじゃねえか!
なのに、なんだ、その格好は!体系は!
もやしにホワイトソースをかけたみたいじゃねえか」
あ、ちょっと想像したらエロかった。
「ほんと、相変わらず呑気よね。
そんなのでよくルイズがけんぞーを倒せたわね」
本当にルイズやらけんぞーって名前だったんだな。
「というか、俺、あいつら倒したことになってんの?」
「どういうことなの?」
それを俺に聞かれてもな。
「あいつらは月曜日になったから帰った。いみ、わかるよな?」
どーよー あんだすたんど ?
「ごめん。説明しなくていいから」
そう言われるとさ、説明せずにはいられないぜ!
「世の中にはな、こんなアホ小説なんかよりも物凄い小説があるんだ。
『すばらしきアッシュ』。
しょうなろで読めるから読んでみろ。
こんなおっぱいばっか言ってるのがあほらしくなるぜ」
「いや、あの、月曜日の説明は?」
そう言って奈々未はハッとした顔になる。
顔を赤らめ、徐々にスカートをたくし上げ始める。
とうとうミニスカほどの短さまで上げられ、一風吹けば世界が裏返ってもおかしくはなかった。
そして、俺たちは楽園を見る。
「いちごばたけじゃあ、ないか」
メテオ。
「なにを勝手に想像してるの?というか、悪役がなんでスカートを穿いてるの?」
「悪役だってスカートを穿きたい!
俺だって、スカート穿いて――
いや、その前にぱんちーが穿きたいです!」
メテオ。
「でだ。そこそこ中ボス並みの風格があると見せながら、ポケモンのBW2のラッタくらいの存在感しかなかった奴らだが――」
「すごく分かりづらいけど」
「ほらさ、小学生の頃って時々マゾヒズムをこじらせるじゃん?
一日中サボテンつついて体中穴だらけとかあるじゃん?」
「絶対にないわよ」
「というかさー、このネタ、引っ張りすぎなんだよね。
ただ単にあいつら、月曜日になったからじゃんぷ買いに行っただけなのに」
「さらっと、どうでもいいことを言うのね」
「で、奈々未。俺にスカートを見せに来てくれたんだろ?」
俺は目からビームを出す。
そのビームを浴びた奈々未の服は徐々に透けていった。
こう、時々アプリゲーの立体キャラをえっちな角度から眺めまわしていると服が透けてくるだろ?
わからない?
今すぐDQ8を買え!
きちんと3DS版だ。
一か月はおかずに困らねえ。
「いやぁん」
奈々未は俺の息子をいきり立たせるような叫びをあげる。
待ってろよ。
全て剥き終わったら、俺の息子で更なる快楽へと導いてやるからよ。
水濡れのように衣服は透けていき、そして、完全に消えていく。
奈々未は必死に腕を組み、その平坦な胸を隠し、大腿をこすり合わせて、ひぶを隠さんとする。
きちんと剃っているのか。
だが、その割には青く染まっていない。
まさか――
「なんだか俺、急に奈々未が魅力的に思えてきたよ」
だが、待てよ。
どれだけ生えてなかろうと、奈々未は貧乳じゃねえか。
「俺より薄い胸を見ても少しも面白くはねえんだよ!」
「だから、悪役がどうして濡れシャツきてるんだっつーの」
メテオ。
「はあ。こんなのが君の幼馴染だとは。君は今まで、なんて可哀想な生活を送ってきたのか」
「分かってくれるか!ベンケイ!」
「僕の名前はベンケイじゃなくて、ジョニーだ」
英語の隠語として息子のことを意味するジョニー。
波乗り――
jonnyyyyyyyyyyyyyyyy!
「煽ってくれてるよね。完全に苔にしてくれてるよね」
「名乗るならまず自分からだろ」
「いや、名乗ったよ。なんなら物凄く強調されたよ」
喜びを与えてくれる息子を愛しすぎて思わず息子に名前を付けたんだけど、どうもそれをアイツは間違って俺の名前だと思ったらしい。
「これ、新作のライトノベルじゃね?すばらしきアッシュ超えるぜ!」
「なあ、奈々未。なんなんだ、この幼なじみは」
「俺の名を言ってみろぉ!」
「もう無茶苦茶だな!」
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