第6話 毎日が日曜日
「ふぅ。ま、これでもう終わりでもいいんじゃね?」
「いい訳がねえだろ。一度死ね」
「そんなことねえよな?中ふ頭のポラメニアン」
「うっふん?何か言った?」
「ムド!」
俺は中ふ頭のポラメニアンにムドを撃ったが、やっぱり効かない。
やっぱり闇属性が弱点じゃないとダメか。
「俺と中ふ頭のポラメニアンとの出会いは、場末の酒場だった――」
「突然語り出したけど、誰も求めてないぜ。一度死ね」
俺はとある事情で情報が集まるという酒場を訪れたんだ。
「マダムジェニファー。ミルクを頼む」
ミルクを運んで来たのは中ふ頭のポラメニアンだった。
「つまり、そのマダムジェニファーとかいう人が中ふ頭のポラメニアンだったわけか。一度死ね」
「ところがそうじゃねえ」
「お前は誰だ?」
ミルクを運んで来たのが情報屋のマダムジェニファーでないことに気がついた俺は中ふ頭のポラメニアンを警戒した。
「吾輩のミルクをどうぞ!」
「いるか!」
中ふ頭のポラメニアンの頭をぶっ叩いたのがマダムジェニファーだった。
「ばかばかばかばかばか!」
「止めてやれよ、マダムジェニファー。もうそいつのライフはゼロだ」
中ふ頭のポラメニアンはひき肉になっていた。
「ところでわたしに何の用なの?」
マダムジェニファーはピンクの髪にマントを羽織り、背が低いゼロの使い魔だった。
声は当然釘宮様。
「聞きたいことがあるんだが――」
それが俺と中ふ頭のポラメニアンとの出会いだった。
「中ふ頭のポラメニアン、ひき肉にされただけだよな。一度死ね」
「ははっ。時間を無駄にしたな。バーカ」
「ツッコミ役がいないと閉まらないですな」
すると、突然ルイズがやってくる。
「兄に勝る弟はいねぇ!」
「突然どうした!」
俺はあいさつ代わりにザキを撃つ。
「あいさつ代わりに即死魔法とは、いい度胸じゃない」
俺は鼻で笑って答える。
「な、なによ。余裕綽々じゃない」
「結婚した釘宮さんになんか、もう、興味がねえんだよ!」
「サイテーなことを言った!一度死ね」
俺は心の丈をさらけ出す。
「俺にとって釘宮さんは青春の憧れだった。
釘宮さんがメガネ男子が好きって言うから、無理矢理目つぶしして眼鏡をかけさせてやったんだぞ!
クラスの男子に!
なのに、なのに、イケメンに限るということなのか!?」
「もうツッコミどころが多くて、どうしていいのかわからないんだけど」
「同感だ。一度死ね」
俺の心はバーストして止まらない。
「声優と結婚するのが童貞にとっての夢なんだよ!
ベッドの上であのキャラやこのキャラを想像してやるのが夢なんだよ!
なのに、なのに、なんなんだ!結婚て!」
「童貞は好みよ」
「中ふ頭のポラメニアンのセリフだ。一度死ね」
童貞がモテないというなら、童貞はいつ童貞を捨てればいいのか!
「風俗に行きなさい」
「フーゾクに行ったら負けだろ!
童貞が金を書けないと捨てられないとか、産業廃棄物なのか?
俺の息子はイチモツだぞ!」
みんな、童貞だからって、バカにしやがって。
だが、ここで、疑問が生じる。
俺だから童貞をバカにするんじゃないか。
童貞にはバカにされる理由などどこにもなく
て、俺のせいで童貞がバカにされてしまうのではないか――
「釘宮様のおかげで、俺は貧乳をこころから愛せると思ったのに!
毎日小学生の登校風景を写真に収めていたのに!
なのに!
俺の青春を返してくれ!」
「さっきの語りはなんだったの?脈絡なさすぎじゃない?」
俺のせいで童貞がバカにされる?
そんなわけねえだろ。
童貞は世界で一番尊いものだ。
簡単に捨てちまう奴こそ愚かなのさ。
「小学生にもなって童貞なんて。マヂウケルー」
「で、何の用だ。ルイズ」
ちなみに言うと、声は釘宮様ではない。
完全にマダムジェニファーだな。
「わたしはメテオ族の刺客、
おばさん声で言われてもな……
「悠木碧さん!きっと結婚できるから大丈夫だよ!カルナも当たるから!だから希望を胸に、ね!」
「他の女の話をするな!」
またも俺を重力が襲う。
「これは、故メテオだ――」
「その通り!ガルマのメテオなんてめじゃないんだから!」
メテオの上位魔法、故メテオ。
隕石を落とす量が凌駕している。
「親父ギャグ言ってる暇じゃないぞ。一度死ね」
かかる重力も並ではない。
俺は中ふ頭のポラメニアンを見る。
ひき肉がパックに入っていた。
グラム9円という高さ。
意外と上質だったのかもしれない。
「ふぁっきゅー!」
だが、これからメテオ一族と戦う上では必ずメテオの攻略方法を見つけなければならない。
思い出せ。
ヒントがどこかにあるはずだ。
「職が見つからない作者でいいのなら、悠木碧さん。結婚してもいいぜ」
「死ね!」
即死太郎は二度死ぬ。
「何度も死んでるだろ。一度死ね」
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