第5話 ようやく戦闘
「どうやらぼくたちは戦う運命みたいだね」
「どうしてだ。あんなにいっしょだったのに――」
「ぼくだって君と戦いたくない!でも、きみの幼馴染がメテオをちらつかせるんだ!」
「きらぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!」
「あすらぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁん!」
「そろそろまじめにやれ」
「ぼくら一族の魔法は重力魔法。その一環として、メテオがあるのさ」
メテオとは重力を操る魔法を使い、隕石を落とす技だ。
普通に地球滅亡だけど、そこは突っ込んではならないし、ラスボス専用の魔法でもない。
「なあ、ガルマ。お前には名前があるのか?」
「ぼくはガルマでなくてだな――」
「それ以上はいい」
だって、作者が名前を覚えていないのだから。
「サイテーだな」
だが、サイテーなのはこっちの方だ。
名前があるということは、そこそこ重要なキャラなのだから。
「ぼくのメテオに抱かれて死ね」
「ちょっと変な意味にとられるぞ」
瞬間、俺の体は強い重力に押しつぶされそうになる。
これはガルマの攻撃ではない。
攻撃の一環なのだ。
「あと10秒でお前のもとにメテオが飛来する。これで終わりだな!即死太郎!」
つまり、この身動きが取れない状態というのは、メテオの攻撃の予兆のようなもの。
攻撃そのものではないのだ。
そして、このガルマはラスボスでもなんでもなく、また、これは負け確定のイベントでもないからより困る。
「ちっ。即死魔法を使うしかないか」
魔法には大まかに二種類ある。
ひどく実務的な話であるが、大気や大地など自然にあふれている生命力をかき集めて使う魔法を
そして、基本的に即死魔法は
いろいろと専門的な話なので端折るが、どんなRPGでも即死魔法は消費魔力が高い。
そのくせ、確率は悪いから、普通RPGで即死魔法を使うやつはいない。
俺は魔力の出口である
即死魔法はこの
「デス!」
メテオがFFの魔法なのでFFの魔法の名前で即死魔法を撃つが、別にザキやらと内容は変わらない。
「おい、危ないじゃないか!即死したらどうする!」
「即死魔法しか使えない俺に向かって言うセリフかよ」
実はもうとっくに10秒を過ぎているけれど、メテオは時間にルーズだ。
「それにな、ガルマ。即死魔法ってのは当たっても死ぬ確率は1%。それに加えて名前を持ったキャラクターとかボスキャラの即死率は0.001%だ」
つまりは、隕石が頭に当たって死ぬ確率よりも低い。
いや、かなり高確率で俺たちは殺されたわけだが。
「それでも死ぬだろう!?少しでも可能性があるのなら嫌だね」
ちっ。チキンが。
そろそろ重力が耐えられないレベルまで強くなる。
上空から凄まじい轟音がする。
すなわち、俺の死の宣告はすぐそこなわけだ。
「さらばだ、ぼくのライバル」
「一方的にお前がライバルを名乗っているだけだがな――」
それが俺の最後の言葉となるだろう。
そう思ったとき、俺に奇跡が起きた。
逆光の中現れる彼。
筋骨隆々としたたくましい体つき。
そう彼の名は――
「中ふ頭のポラメニアン!」
どこにポラメニアンの要素があるのかはわからない。
「ふぁっきゅー!」
中ふ頭のポラメニアンはその鍛え上げられた拳でメテオを破壊した。
「サンキュー。中ふ頭のポラメニアン」
「礼には及びません。吾輩たち、100人いる中ふ頭のポラメニアンは即死太郎様専用の公衆便所ですから」
激しく誤解を生むだろうが、もう今さらなのでもういい。
「今回は見逃してやるが、次はないと思え!」
「奈々未!」
俺は不安そうな瞳をした奈々未に語りかける。
「俺は必ずお前のスカートをめくってやる!何があってもだ!それから脱ぎたてのパンティを提供してくれるか決めてくれればいい。俺たち、幼なじみだろう?」
「史上最悪の『俺たち幼なじみだろう?』の使い方ね」
奈々未は瞳にたまった涙を指で拭う。
「今度言ったらメテオで消すから」
「メテオ放ってから言うんじゃねえよ!」
仕方なくコンティニュー。
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