第27話 渡る世間は、ゆとり世代差別ばかり。バグハンターはつらいよ
バグハンター。編
表記
バグハンター 「バ」
佐藤ジェームズ太郎 「さ」 モチーフ 齋藤ウィリアム浩幸
聞き手 「き」
サイバーフォーラムの会場
き「本日は、今、話題のITに強いオピニオンリーダー 佐藤ジェームズ太郎さんにお話を伺ってまいりたいと思います」
さ「どうも!」
き「早速ですが、サイバー攻撃の脅威が年々増している中、今後、日本はどうしていけばいいですか?一体どこが問題ですか?」
さ「まず、若者が悪いですね!ゆとり教育世代が悪い!です。サイバー攻撃で一番大事なのは基礎学力です!」
さ「アメリカが、なぜサイバー空間を独占していると思いますか?基礎学力が高いからです」
画面越しからライブ中継を見るバグハンター
バ「ちっ!くだらねぇ!インチキ嘘つき野郎め!」
バ「IT先進国のアメリカが学力が高いからだって?日本のほうがOECD調査ではアメリカより学力が高いじゃねぇか・・」
バ「俺は、なぜアメリカが強いか知っている・・」
回想
バ「俺は子供のころアメリカに住んでいた」
バ「アメリカでは、義務教育でJAVAのプログラミングの授業がある。」
バ「俺は、その時、プログラミングの楽しさを知った。」
バ「アメリカでは義務教育で、プログラミングの授業がある・・日本は2020年までやらない」
バ「だからアメリカは強い10代でも天才ハッカーがいる。学力は関係ない子供のころからやっているからだ。そこで才能のあるやつが伸びるのだ」
き「先生のおっしゃる通りです!ユトリが悪いですよね!」
会場歓声
さ「そうでしょう!そうでしょう!すべて悪いのは若者なんです!ゆとり世代が全部悪いんです!」
パソコンでバグを探しながらライブ映像を見るバグハンター
バ「どこもインチキの嘘つきが人気者になるんだな・・この会場に来ているやつらもサイバー攻撃の知識がわからない奴らなんだろう・・」
バ「馬鹿は馬鹿に感染する。馬鹿は馬鹿に騙される。だから馬鹿が偉くなる」
バ「あの時も、そうだったな・・・」
回想
オフィス
新入社員のバグハンター
バ「本日入社いたしました○○と申します。」
バ「えっと、子供のころはアメリカに住んでました。学校のプログラミングの授業でプログラミングに興味を持ち」
バ「それから、ずっとプログラミングが趣味です!」
バ「ポジションはバグハンターです!」
バ「専門学校卒で、大卒の先輩皆さんの足手まといになるかもしれませんが、どうかよろしくお願いいたします。」
先輩「あっそう・・・よろしくね・・・」
バ「(冷めた職場だな・・・まぁこれから仕事を頑張って理解してもらおう・・)」
15:11 2018/04/03
バ「ここは構文ミスです!コードは正確な文法を心がけて書いてください!サイバー攻撃の入り口になってしまいます!」
バ「ああ!ダメです!CWE-20!不適切な入力をされると水飲み場攻撃に利用される可能性があります!修正してください!」
先輩「あぁあぁ!うるせぇんだよ!こんなエラーがでても動作すればいいんだよ!!」
バ「ダメですよ!CWE-20を狙った水飲み場攻撃はよくある手口です。常套手段です!しっかり対策をしないと・・」
先輩「お前馬鹿か?こんなウチみたいな小さいIT会社を誰が狙うんだよwwおまえ馬鹿だろ?」
先輩「あっ!お前!そういえば、ゆとり世代だったよな!」
バ「そ、それが、何か?」
先輩「そうかそうか!ゆとり世代なら馬鹿だからしょうがないよな!欠陥品だもんな!」
バ「(な、なんだ・・コイツ・・)」
先輩「もう、ゆとりは黙ってろよ!!こっちは納期が迫ってんだよ!!!」
先輩「お前が口出しするから、開発がちっとも進まない!」
先輩「バグだの!サイバー攻撃だの!知らねぇよ!!!ウチのようなマイナーな小さい企業をハッカーがねらうわけねぇだろ!バカか!ゆとりは!」
バ「でしたら!私のようなゆとりの欠陥品とやらにダメ出しされなくてもいいように、きちんとバグのないコードを書いてくださいよ!センパイ!」
先輩「なにぃ!!ゆとりのくせに生意気な!上司に口答えするな!!反論するな!これだからゆとりは!上下関係が分かってない!!!」
回想終了
ゆとり世代の3人1人が職場でゆとり世代というだけで差別されたことがあると答えている。アンケート表示
別の回想開始
飲み屋
先輩の上の上司「プログラミングの世界では1と0の世界でもな」
上の上司「サラリーマンちゅうもんはなー。上司が1と言えば1じゃなくても1と言わなきゃいかん」
バ「は、はぁ・・・」
バ「ですが、プログラムは正直です!0なのに1と入力すればエラーが出ます!」
バ「エラーが出れば、それが悪用され、システムが乗っ取られ利用者が困るだけでなく第三者の攻撃の踏み台に利用されてしまいます!」
バ「ほっとけば、大惨事になりますよ!」
上の上司「おまえは真面目過ぎるんだ・・要領よく生きないとサラリーマン社会は生きられんのじゃ」
バ「つまり・・私にバグを見過ごせ・・・と?」
上の上司「そうだ!今は会社の経営が厳しいんだよ!人手不足でみんな残業続きで職場はギスギスしている・・」
上の上司「そんなところに、お前が些細なバグで開発を邪魔する」
バ「私は邪魔をしているわけではありません!脆弱性を見つけて、サイバー攻撃を防いでいるだけです!」
上の上司「オイオイ~!こんな小さい企業。誰が狙うんだよ?大企業ならまだしも・・(笑い)」
上の上司「とにかく!今は、納期が大事なんだ!問題があるなら後で修正すればいい。わかるな?しばらくは皆の邪魔はするな」
バ「は、はぁ・・」
15:49 2018/04/03
会社オフィス
先輩「やっとできたぞ!!!完成だ!」
オドオドするバグハンター
バ「や、やっぱりリリースを遅らせましょう!相当なバグがあります!攻撃してくれと言わんばかりです。利用者だけでなく第三者にも迷惑が・・」
先輩「あああ!!また!ゆとりは、そうやって邪魔すんのか!ゆとりは馬鹿のくせにイキってんじゃねぇぞ」
バ「だったら、お願いですから!もう少しまともなコードを書いてくださいよ!バグだらけですよ!」
先輩「うるさい!ゆとりめ!!政府も認める欠陥品が!」
先輩の上司「何をもめているんだ!」
先輩「このゆとりの馬鹿がバグばかりだからリリースを遅らせろと言うんですよ!」
上司「ははっ!君は臆病者だな!バグなんかあってもウチみたいな小さい会社をハッカーが攻撃してくるわけないじゃないか!動作すればいいんだ!動作すれば」
先輩「ですよねーあはははは(笑い)」
上司「さっさとリリースしたまえ!」
バ「サイバー攻撃されて、どうなっても知りませんよ!」
回想終了
バ「だが、俺の予感は残念ながら的中した・・・」
15:59 2018/04/03
ニュース
アナウンサー「A社が運営する人気サイト〇×が改ざんされ水飲み場攻撃されました。」
アナ「水飲み場攻撃とは改ざんされたホームページにウイルスが仕掛けられ利用者のPCをウイルスに感染させる攻撃方法です」
アナ「A社のホームページに1年以内にアクセスした方は至急アンチウィルスソフトなどでウイルスを駆除してほしいと警視庁サイバー犯罪対策課は呼び掛けています」
アナ「被害は数十万人に上ると見られ、前代未聞の水飲み場攻撃になりそうです。サイバー攻撃を受けてA社の株はストップ安に・・A社は業績を下方修正・・・」
オフィス
先輩「この!ゆとりめ!!お前が悪い!!!」
殴られるバグハンター
バ「痛ぇ!なんで殴られるんですか!!」
先輩「お前がバグをきちんと見つけて報告しないからサイバー攻撃されたんだ!!!」
バ「はぁ?」
先輩の上司「一体!これはどういうことだ!なんでサイバー攻撃されたんだ!」
先輩「みんなこのゆとりが悪いんですよ!ゆとり世代は欠陥品なのにバグハンターなんて務まるわけがないんですよ!」
上司「そうか!このゆとり世代の欠陥品め!君がバグを発見しないから会社は大損害だ!きちんと責任を取りたまえ!」
バ「なんだよ・・それ・・あんたらが!リリースを優先させるためにバグを見て見ぬふりをしろと言ったんだろ!!!」
バ「納期が大事だといったんだろ!!!俺が何を悪いことしたんだよ!なんでたまたま、ゆとり世代で生まれただけで、こんな差別的な扱いをうけるんだよ!!」
先輩「うるさい!ゆとりが口答え!するな!日本の景気を悪くしているのも国際競争に負けるのも企業の業績が悪いのも、みーんなみんなゆとりが悪いんだよ」
上司「マスコミだって連日。言っている。ゆとりが悪い悪いと・・マスコミの言うとおりだった・・ゆとり世代が、この会社をダメにした」
バ「もうたくさんだ!いいよ!責任を取ってやるよ!あんたらに従った俺が馬鹿だった!自分の考えを信じず曲げた俺が悪いよ!こんな会社辞めてやる!」
上司「ほら!みろ!ゆとりはすーぐ会社を辞める!!(笑い)」
先輩「ゲラげらげら!これだからゆとりは・・・笑い」
16:16 2018/04/03
ニュース
アナ「人気サイト〇×に不正アクセスしたとして神奈川県サイバー犯罪課は18歳の無職の少年を逮捕しました」
アナ「警察の調べによりますと、無職の少年はインターネット上でゴマコンニャクのハンドルネームで活動し」
アナ「インターネットで入手した不正なツールを使い。様々なサイトを攻撃していたということです。」
アナ「警察は無職の少年はがプログラミングやハッキングの技術力は低く不正なツールを使用するだけのスクリプトキディとみて捜査しています」
アナ「一方、サイバー攻撃の被害を受けたA社はサイバー攻撃でた損失が大きく事業継続が困難と・・・」
バグ「ネットで無料で配布されている攻撃ツールだけで攻撃されたのか・・・」
バグ「しかもハッカーでもなくスクリプトキディに・・」
バグ「当然か・・・」
回想もどる
バグを探すバグハンター
バグ「その後も、似たような感じだった・・・」
バグ「どこに行ってもどこに行っても・・・」
バグ「ゆとりゆとり・・」
別の先輩A「ふざけんなよ!この!ゆとり!!今忙しいんだよ!些細なバグで邪魔すんな!死ね!ゆとり!」
別の先輩B「どこの誰がウチみたいな小さい会社を!ハッキングすんだよ!バグなんてどうでもいい!動けばいいんだよ!ゆとりは黙ってろ!」
別の先輩C「今日は会社に残って深夜残業してね!明日の朝までにバグ探して修正しといて・・・何?月150時間残業ができないって?これだからゆとりは・・」
別の先輩C「俺が若いころは24時間会社にいたもんだ!!公共国営放送も公正中立の報道を一切せず!!ゆとりが残業しないのが悪い!と差別しているだろうが!!残業しろや!ゆとりめ!」
バグ「どこでもどこでも・・・バグハンターは常に邪魔扱い・・・」
バグ「そんなにバグを見つけるのが・・・悪いことなのか?」
バグ「人より多くバグを見つけてしまう・・どうしてそれが悪いことなのか・・」
バグ「ある時、俺は目が覚めた・・・」
16:34 2018/04/03
回想
ニュース
アナ「人気ソーシャルゲームのサービスにDDOSアタックをかけたとして18歳の無職の少年が逮捕されました」
アナ「18歳の無職の少年はSNSでゴマコンニャクのハンドルネームで・・・」
家でテレビを見るバグ
バグ「またスクリプトキディのゴマコンニャクか・・・」
アナ「SNSで仮想通貨で募金を募り、入手した不正なツールでサイバー攻撃を行って人気を得ていたということです」
アナ「警察の調べによりますと、募金額は、総額1000万円とみられ・・・」
バグ「ぷっ!!!いっ、1000万円!!!??」
バグ「自分でバグを見つけられないのに!自分でツールも開発できない。こんなアホがハッカーを気取って1000万円だと!?」
バグ「俺より遥かに能力や技術の劣るやつがハッカーを名乗って大金を稼いでる」
バグ「真面目に小さい会社で邪魔者扱いされながら差別されながらバグを見つけて何になるんだよ・・・」
バグ「馬鹿らしい・・・真面目に働くのが馬鹿らしい・・・」
バグ「そもそも真面目に働かせてもらえないじゃないか・・・」
回想
先輩「ゆとりは黙ってろ!バグなんてどうでもいいんだよ!くそ!ゆとりが!」
バグ「俺がハッキングをやれば、もっと優れたハッカーになるかもしれない・・・」
バグ「俺を、ゆとりと見下しサイバー攻撃を軽視する馬鹿どもに思い知らせてやれるかもしれない・・・」
バグ「伝説のハッカー、マックス・バトラーは言った。表の世界で名誉の為に働く自分が馬鹿らしく思えた。」
バグ「自分も簡単に出来る技術で裏社会では大金を稼いでいる奴らがいる。自分がやれば、もっと大金が稼げるかもしれない」
バグ「その頃からマックス・バトラーは自分の技術を悪用し始めた」
回想戻る
バグ「その時、俺は気が付いたんだ・・」
バグ「この社会は馬鹿が勝つ!馬鹿が出世する!」
バグ「だって・・世の中の連中はサイバー攻撃の仕方なんて知らないんだ!!!バグを一つも見つけられない」
バグ「知識がない」
バグ「知識のある奴の難しい話より、知識がないから知識のない奴の簡単な話を信じる」
バグ「だから馬鹿は馬鹿に感染する」
バグ「ゆとりが悪い!ニートが悪い!と言えば、馬鹿は、難しいことがわからないので、それを信じ、それを言ったやつが評価され人気者になり出世するのだ」
バグ「それは、俺も同じ。コンピューターに詳しくても中国のことや韓国のことを知らない。経済も軍事も知らない」
バグ「慰安婦問題とか拉致問題とか原発問題も、よく知らない。」
バグ「だからきっとコンピューターの知識以外では俺も、分かりやすい言葉で、どこかの馬鹿に騙されてるかもしれない。俺もコンピューター以外では馬鹿なのだ。」
画面を見て目をひそめるバグハンター
バグ「バグ発見!ショウタイム!」
バグ「CWE-22成功! パストラバーサル!」
../../../etc/passwd
@パストラサーバルはバグだけどバグではないな
バグというより、どちらかというと管理者がヘマの類
バグ「パスワードの書かれたテキストファイル発見!大学のシステムを乗っ取ったな・・・」
バグ「ん?これは・・・へーやっぱ!そういうことかよ!やっぱり人気者は嘘つきかよ!」
16:51 2018/04/03
ニュース
アナ「佐藤ジェームズ太郎氏の公式HPが何者かによってハッキングされ学歴は詐称だと改ざんされていることについて」
アナ「佐藤ジェームズ太郎氏は政府に迷惑をかけたとして本日、政府の役職を辞職しました。」
佐藤ジェームズ太郎「これはサイバー攻撃です!誰かが私を貶めるためにフェイクニュースを流している」
レポーターA「学歴は詐称というのは本当でしょうか!?」
レポーターB「大学を卒業されてないんですか?」
佐藤ジェームズ太郎「そ、それは・・」
SNS上
SNSB「こいつ!若者が悪いしか言わないよな!やっぱり中身のない奴は専門的な話ができないので若者の悪口しか言えないんだな」
SNSC「こいつを持ち上げて表彰までしてたマスゴミでてこいよ(´・ω・`)凸」
SNSA「ぷっ!やっぱりインチキだったか・・・知ってましたわ!!」
バグ「この世は不公平だ!この社会は人気を取ったやつが偉い!そして、人気者は嘘で作られている」
バグ「だって嘘で作ったほうが見栄えがいいだろ?女が化粧すれば美人に見られチヤホヤされるように・・・」
バグ「でも、サイバー空間は違う。サイバー空間では正確にコードを書いたものが評価される。インチキは通用しない。」
バグ「年功序列も差別も関係ないバグを多く見つけたやつがサイバー空間の戦いに勝つ」
バグ「俺はブラックハッカーに、だからなった」
バグ「ハッキングの世界では差別もない。サイバー知識がある人間だけが評価される世界だからだ」
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