第18話 障害者作業所で真面目に働いても月1万円しかもらえない・・・


ヨウ「俺は小金井羊(コガネイ・ヨウ)。統合失調症で今まで無職だった・・・今日から、社会復帰のために障害者作業所に通う」


ヨウ「正直、自分が精神障害者だと人に打ち明けて働くのは抵抗がある・・・どうせ差別される」


ヨウ「精神障害は他人にはわからない。目で見てハッキリわからないからだ」


ヨウ「しかし、ほかに頼るところもなく渋々、わざわざ歩いて片道2時間のところに通う。田舎で精神障害者に対応した作業所が少ないからだ」




「障害者作業所こぜまぜ」と看板が立った建物の前につく、ヨウ



ヨウ「2時間もかけてここまできたけど・・・やっぱりやだな・・・精神障害者と見られるより隠した方が・・・どうせ差別される・・・」


ヨウ「帰ろう・・・」


ヨウは振り返り帰ろうとしたところ



職員「あれ?キミひょっとして・・・小金井君ですか?」


ヨウ「えっ?あ、ハイ」


職員「今日から、ここで働くんだよね!よろしくね!」


ヨウ「はぁ・・」


職員「さぁ!きてきて!みなさんに紹介しますから!」


職員「みなさん!今日から、ここで、みなさんと!働く。小金井羊さんです!」


ヨウ「どうもよろしくおねがします。」


障害者作業所一同「よろしく!」


職員「さぁ!ここが!君の席だよ!座って!」


ヨウ「はい!」


職員「じゃ、どうしようか・・・小金井君は得意なことはあるかな?」


ヨウ「とくにないです・・」


職員「じゃ!まずは簡単なのからやろうか・・じゃ!これ!ホイ!」


ヨウ「なんです?これ?」


職員「コーヒー豆の選別作業の道具と豆だよ!」


ヨウ「コーヒー豆の選別とか、コーヒー飲まないんでわからないんですけど・・・」


職員「簡単だよ!ほら!こういう、つぶれたコーヒー豆とか表面が欠けているものを取り除いていくんだ!簡単でしょ?」


ヨウ「はぁ・・・やってみます」


職員「それじゃ!がんばって!」



10分後



ヨウ(頭が痛い・・・いつもこうだ・・精神障害のせいで、いつもいつも熱ぽっいというか頭がふらふらする。集中力が続かない)


ヨウ(つかれた。豆の選別作業って結構大変。)


ヨウ(この豆はどうなんだろう・・・取り除いてもいいのか・・・もし100パーセント取り除けなかったら怒られるんだろうな・・)


ヨウ(なんでかんでも取り除いたら取り除きすぎと言われて怒られるだろうし・・・はぁ・・なんで重度の精神障害があるのに働かせるんだよ・・この国は・・)



職員「どうだい?ヨウ君!働くって楽しいでしょ?」


ヨウ「いえ、別に・・・」


職員「そのうち、最初は大変だけど楽しくなってくるさ!」


ヨウ「そうですかね・・」


職員「君の隣で選別している子は知的障害があるけど、すごいテキパキして選別しているでしょ?」




ヨウは、隣の知的障害の子の選別を見る


ヨウ「げっ!無茶苦茶早い・・」


職員「あの子も最初はうまくいかなかったんですよ!」


ヨウ「でも、僕はいくらやっても無理だと思います・・・」


職員「なぜ?」


ヨウ「頭が痛いというか・・なんか、いつも、もうろうとしててテキパキできないんです」


職員「それは仕方ないじゃない!君は統合失調症で薬や病気のせいで、認知機能が低下しているんだから」


職員「作業が遅れてもいいから無理しないで、できる範囲でがんばって!」


ヨウ「えっ・・・」




ヨウ(


意外だ・・・


今までの扱いと違う・・・



親「ばかばかしい!きっと!学校をサボりたいから!幻聴や幻覚が見えるフリをしているんだ!」



親「ウチの息子に限って!精神障害者になるわけがない!甘えず、とっと!家からでて!自立しろ!」



市の福祉課「なに?統合失調症だぁ?君は若者でピンピンしてるじゃないか!」


市の福祉課「どうせ!ヒキコモリが働きたくないから統合失調症のフリをして診断書を医者に書いてもらったんだろ!」


市の福祉課「若いんだから!働け!働け!」


ヨウ「お願いです・・統合失調症で苦しんでいて働けません!治るまで生活保護をください!」


市の職員「ちがっーーーう!お前は!統合失調症じゃない!ニートだ!ニート!ニートが働きたくないから統合失調症だと言い訳をしているんだ!ニートには生活保護をやるなと!不正受給だと!テレビも新聞も、みーんな言っているじゃないか!あはははは!!」


バイトの店長「なに!統合失調症がひどくなるから、週3日以上は働かないだ??ふざけんなよ!お前!!面接した時、統合失調症と言わなかったじゃねぇか!!!」


ヨウ「だって・・・統合失調症だと言えば差別して雇わないじゃないですか!」


バイトの店長「知らねぇよ!とにかく!新しく入ったバイトが辞めて穴が開いたんだよ!だから、お前代わりにそいつの分も今週休まず働け!じゃないと統合失調症を隠して働いた罰として解雇するぞ!」


ヨウ「でも、働きすぎると・・・精神障害がひどくなるんです!新しく入った女子高生の子に・・」


バイト「ふざけんなよ!これから、その女子高生のマミちゃんと俺が,これからデートするんだよ!じゃ!あと!よろしくな!しっかり働けよ!!!!じゃ!あとよろしく!フハハハハハ!!!」



今までは、ずっとずっとこんなのだった・・・


統合失調症だと公表すれば差別される


公表しても、配慮なんかされない


それどころか差別やトラブルにしかあわない


これが現実だったのに・・・




すると向かいの席で作業所で働いている障害者が話かけてきた



障害者作業所で働いている他の障害者A「職員の人の言う通りだよ。僕も統合失調症だけど、この病気は焦れば焦るほど病気が再発して振り出しに戻ってしまう」



障害者作業所で働いている他の障害者A「この病気で順調に社会復帰できる人はごく一握りなんだから、アメリカでは統合失調症患者の2割しか一般社会にはいれてないんだって」


障害者作業所で働いている他の障害者A「だから無理しなくていいんだよ」


障害者作業所で働いている他の障害者B「そそ!無理しない無理しない」


ヨウ「そう・・・ですか・・・」


ヨウは泣き出す・・・


職員「あれ?ヨウ君・・・涙がでているけど・・・大丈夫」


ヨウ「えっ?・・すいません・・・あまり人に親切にされたことがないので・・・」


職員「それどういうこと?」


ヨウ「今までは、統合失調症なんて甘えだ!そんな病気は存在しないと言われ、甘えるな!もっと努力しろ・・・もっと無理をしろ!でした・・・」


職員「ふぅむ」


ヨウ「でも、ここでは、逆に無理をするなばかり言われる・・・」


職員「ははっ!ちゅまーん!俺が優しすぎて泣かせちゃった!ごめーん!」


作業所一同「あははは!」


ヨウ「それもあるんですけど・・なぜこうも違うのかなって・・・」


職員「どういうこと?」


ヨウ「僕が統合失調症で苦しんでいることも世の中の人は認めてくれないじゃないですか・・それがおかしいなって、なんで理解してもらえないんだろうって・・それで・・」


障害者作業所で働いている他の障害者A「そういうのは経験は僕にもあるな・・・この病気は外から見てわからないからね・・健康な人たちに理解してもらうのは難しいよ」


障害者作業所で働いている他の障害者B「健康な人には理解できない理解できない」


職員「どうだろう・・ヨウ君!君が他の誰が信じられなくなっても、ここにいる同じ障害を抱えた仲間は信じてみてもいいんじゃないか?」


職員「ここには君より長く、君と同じ病気を経験した先輩がたくさんいるからね。きっと話し合えば君にとってもプラスになると思うんだ。」


ヨウ「はい・・(´;ω;`)ブワッありがとうございます・・」


職員「さぁ!みなさん!作業に集中して・・・」




ヨウ(



確かに障害者作業所は素晴らしいところだった・・・・が・・・





職員「さっ!今日は、お給料日です!」



障害者作業所一同「うわ!やった!!」「やっほーい!」



職員「ハイ!どうぞ!」



障害者作業所で働いている他の障害者A「ども」



職員「はい!ヨウ君。ここで働いて初めてのお給料だよ!」


ヨウ「ありがとうございます!」


ヨウ「いくら入っているかな~」


ヨウ「あれ?」


ヨウ「1万円・・・」


ヨウ「あれだけ、がんばっても1万円か・・・」


障害者作業所で働いている他の障害者A「まぁ、そんなもんだよ。昼食代1食500円を引いたり送迎代を引けば1万円くらいだよ」


ヨウ(まぁ・・・世の中、そんな甘くないよな・・・)


ヨウ(コーヒ豆の選別をしただけで・・7万円も貰えるわけないか・・)




ヨウは作業所からの帰り道に家計簿を頭の中で計算していた


ヨウ「障害者作業所が1万円で年金が6万円で合計月7万円・・・親と同居しているから成り立つけど親が死んだらどうなることやら・・・」


ヨウ「もう・・・俺の人生は終わりかもしれない・・・」


ヨウ「ただいま!」


母親「おかえり!ごはんは?」


ヨウ「いらない食べてきた」


母親「そう・・・」


ヨウは家に帰るとふとリビングに置いたあるテレビに釘付けになった


報道番組「深刻化するパラサイトシングル!」


報道番組「いい年しても自立しない無気力な若者たち・・」


ヨウ「どうせ・・いつものように障害問題は出さないんだろ・・・」


報道番組「深刻化する若者のモラルの低下」


母親「気にしちゃだめよ・・・あなたは健常者じゃないんだから・・」


ヨウ「でも!この番組は、親と同居している若者の4割は精神疾患があるという統計データがあるのに、それをださないで!」


ヨウ「パラサイトシングルとあだ名をつけて一方的に健常者のように言って悪く報道し差別煽っている。許せない!」


ヨウ「こいつら!学者はテレビで今の若者が悪い!底辺が悪いとテレビで1時間差別しただけで差別している奴らは5万円も貰える!5万円もだよ!若者が悪い!しか言わないのに・・」


ヨウ「俺はコーヒー豆の選別を1か月真面目にやっても月1万円しかもらえないのに!!不公平だ!」


母親「しかたないわよ・・・障害で苦しんでいる事情は健常者には理解できないんだから・・・」


母親「あなたは、障害者なんだから、障害者なりの小さな幸せを見つけ。ささやかな人生を楽しめばいいのよ!」


ヨウ「でも、あいつら!マスコミや政府、学者どもが!正社員にならないのが悪いだの!一軒家を買わないのが悪いだの!」


ヨウ「自動車を買えなかったら、テロリストだの!テレビヨルヒがテレビヨルヒのTVオタックルの奴らが言ったんだ!!!」


ヨウ「あいつら!差別をしている奴らが、ささやかな人生を認めず、自分たち健常者の恵まれた価値観を押しつけ差別ばかりしてくるじゃないか!」


母親「あなたは、統合失調症で自動車免許取れないんだから、車がない若者はテロリストなんて言っている方がおかしいのよ・・」


母親「とにかく!もうテレビはみなくていいから!そんなことより!早く!お風呂でも入ってきなさい!」


ヨウ「フン!なんで!テレビの視聴率が右肩下がりなのかわかったよ!」















+お花畑県知事が、偽善ばかり主張し、そのささやかな人生までを奪う


次の朝・・


ヨウ「作業所に行ってきます!」


母親「行ってらっしゃい!」



ヨウは送迎代ケチるために片道2時間歩いて山奥の田舎から隣町の障害者作業所に向かった


2時間はヨウにとって色々物事を考える時間になっていた


ヨウ(


確かに・・そうだ・・・


健常者の連中に障害で苦しんでいる事情なんか分かるわけがない


俺は、もう健常者とは比べたり、そもそも他人とは比べてはいけない


自分のささやかな残りの人生を楽しんで生きてくんだ


でも、結婚や彼女がほしかったな・・・


精神障害者で1万円のお給料しかない人間に彼女ができるだろうか・・・





ヨウが歩いていると


途中の道路わきのバス停のベンチに


日本の保守系右派新聞の経産新聞が、たまたま置いてあった


ヨウ「だれかが読み捨てたんだな・・・まったく新聞は片付けてくれよ・・仕方ない俺が捨ててやろう・・」


ヨウ「ん?」



ヨウ「今の若いゆとり世代の男性は金がないから関わるな・・・金を持っている中高年と若い女性は付き合うべきだ・・・」


ヨウ「なんだ・・・この記事・・・これ1年前、出版社の大学館で1年前に配信されたヤツじゃないのか・・・」


ヨウ「差別の使いまわし・・・」



ヨウは新聞を


そっと


バス停のベンチに戻し歩き出した・・



ヨウ「ささやかな人生と言っても何があるんだ・・・彼女もできない・・・」


ヨウ「それどころかマスコミは恋人になるな!とか結婚するな!ではなく、そもそも関わるなと差別している」


ヨウ「マスコミは毎日毎日、様々な差別をして特定の価値観を押し付けてくる。ささやかな平和すらない・・」


ヨウ「コーヒ豆の選別だけがんばっても・・・月1万円しかもらえず」



ヨウ「一般企業には、就職はできない・・・差別されて雇われないか雇われても結局誰かが休めば穴を埋めるために働かされ」


ヨウ「調子がいい時は健常者にしか見えないので、どんどん雇い手の要求は厳しくなるだろう・・」


ヨウ「もう・・絶望しかないな・・・毎日毎日・・差別されて・・俺・・・なんで生きてんだろ・・・」




障害者作業所のテレビ


ニュースアナ「昨日行われた神奈川県知事選において、現職が破れ、新人の花畑知事が誕生しました」


ニュースアナ「花畑知事は、障害者施設ゼロ。精神病棟ゼロを公約に掲げています。」


花畑知事「すべての人が社会参加でき明るい希望が持てる社会をつくります!」


花畑知事「そのためには障害者施設をゼロにし、精神病棟を廃止し精神障碍者の入院期間を1年以内に9割という数値目標を掲げ退院を促進し地域移行を進めます・・」



障害者作業所で働いている他の障害者A「なに考えてるんだろ・・・1年以内に9割退院って・・・どうして数値目標ありきで、患者の視点がかけているのか・・」



ヨウ「障害者を社会参加させてくれるんだから、いい知事じゃないんですか?」


障害者作業所で働いている他の障害者A「統合失調症では10年もかかって就労できる精神状態の「寛解」になった人も多いんだよ・・・」


職員「無理に社会参加を促進してしまうと、かえって病気が再発してしまい。それを繰り返して結局、社会参加もできず、病気も治らない状態になってしまう人もいる」


ヨウ「でも、障害者枠が・・」


職員「障害者枠があっても、障害者を雇う義務のある企業の3割は義務を果たしていないし、それに5.50問題もある」



ヨウ「なんです?5.50問題って」


障害者作業所で働いている他の障害者B「5年のブランクもしくは50歳以上の精神障碍者は企業に絶望的に雇ってもらえない問題のことだよ」



障害者作業所で働いている他の障害者A「精神障害で苦しめばアッという間に5年のブランクなんてできちまうのに・・・酷い話さ・・・」


ヨウ「そう・・・なんですか・・・」


職員「まったく・・きれいごとばかり言って、現場を混乱させるようなことはしなきゃいいいけど・・どうだかね・・」


障害者作業所で働いている他の障害者A「無関心より、変にキレイごとばかり言って関心がある人の方がおそろしい・・・高齢化社会だけでなく移民に福祉や教育を与え財源が乏しい中で福祉が充実するとは思えないしな」


障害者作業所で働いている他の障害者B「まったく!・・おかしなことにならなきゃいいが・・・」












+花畑知事の理想






知事室



リコはアルバイトで湘南ボーイズ新聞の記者のアルバイトをしていた


記者のアルバイトで知事の定例記者会見の取材していた


精神障碍者の姉を餓死で亡くしたリコにとって


花畑知事の高すぎる理想の障害者福祉政策に疑問があったため


リコは花畑知事に質問する機会を伺っていた・・




花畑知事「ここが知事室か・・・素晴らしい!ああ!記者さんたち!カッコよくとってくれよ!」


記者一同「あはははは!」


カメラマン「じゃ!知事お願いします!」


花畑「はいよ!」


リコ「知事!湘南ボーイズ新聞のアダチと申します。撮影中に質問してもよろしいでしょうか?」


花畑知事「どうぞ!なんだね?」


リコ「知事の政策の目玉である障害者施設ゼロ化ですが、国は生産性の低い障害者作業所を削減する指針をだしていますが、知事はどうされるんでしょうか?」


花畑「私は、障害者作業所もゼロにします!」


記者たち「ええええ」


リコ「それでは、作業所にいる障害者は・・」


花畑「障害者を一般企業に就職させればいいんです!これからはダイバーシティ企業が重要なんです!LGBT、移民、障害者、老若男女問わず、あらゆる多種多様な人材が力を合わせて国際競争をしていくのが世界のトレンドなんです!わかるかね?」


リコ「は、はぁ・・・し、しかしですね。現状でも障害者を雇う義務のある企業の3割が罰金を支払ってでも障害者を雇わない方が企業経営にいいと考えているわけでして・・」


リコ「とりわけ社会参加が進んでない精神障害者はハローワークから障害者枠に就職できたのは4パーセントしか・・・」


花畑「そ・れ・は!精神障害者就労支援サポーターを今、養成しているから大丈夫です!」


リコ「たった5時間程度、精神障害者を雇うのは素晴らしい!という話を聞いただけの人ですよね?神奈川県では1か月に1回程度しかやっていませんが・・・」


リコ「ロクな支援もなく精神病棟から1年以内に9割。退院も促進され治療もろくにせず、社会参加を無理やり促しても大丈夫でしょうか?」


花畑「精神障害者地域生活サポーターを養成します!すでに認知症サポーター1000万人育てた実績もあります!」


リコ「ですが、認知症サポーターがいても認知症の患者が自動車を運転し事故を起こしているじゃないですか・・やはり施設での管理が必要で施設が必要では?」


花畑「健常者よりも事故が少ないという統計もあります!事件と病気を結び付けてはいけません!それは差別だ!」


リコ「ヒキコモリと犯罪を結び付けるのはよくて、なぜ精神障害や知的障害と犯罪を結び付けるのはダメなんでしょうか?」


花畑「それは!ヒキコモリは差別すればするほどマスコミと学者が儲かり、障害者批判は障碍者団体が抗議するからです!」



リコ「健常者の労働者ですら労働基準法が守られず過労死が右肩が上がりなのに、企業は障害者に配慮した職場をつくれるでしょうか?健常者ですら配慮せず過労死しているのに・・」


リコ「無理な社会参加は犯罪に走ったり社会不適合になってしまう可能性も・・・」



花畑「みなさんは精神障害者に偏見がある!特に!あなたは!誤解している・・・犯罪や社会不適合を精神障害と結び付けるのは間違っている!」



リコ「は、はぁ・・・しかし、福祉を減らしてしまったら・・犯罪が増えることは過去の例でも・・・」


花畑「精神障害者だって立派な天才はいるんです!ビューティフルマインドのモチーフにもなりノーベル経済賞を受賞したジョン・ナッシュ教授がいるじゃないですか!」


リコ「なぜ障害と犯罪を結び付けるのはダメなのに・・天才と障害者を結び付けるのはいいんですか?大部分の障害者がノーベル賞を取れるなれるわけがないので・・コーヒー豆の選別の仕事は必要では?」



花畑「君は!まるでわかっていない!コーヒー豆の選別の仕事はAIがこれからの時代はやるんです!」


リコ「では、精神障碍者は・・・」


花畑「精神障害者は何をやるのかというとハッカーです!」( ー`дー´)キリッ


リコ「ハ、ハッカー・・・ですか・・(-_-;)」


花畑「そうです!アメリカの刑務所をハッキングしたのは精神障碍者のコンラッズ・ヴォイツという男性だったんです!精神障碍者はホワイトハッカーになれるんです!」


花畑「ITは人手不足なんだし企業は精神障害者を雇えばいいじゃありませんか!みなさんは精神障碍者の可能性をもっと信じるべきなんです!」


リコ「しかしですね・・・」



花畑「君は!どこの新聞記者だね?見たところ、お若いようだけど・・・」


リコ「は、はぁ・・僕はアルバイトで湘南ボーイズ新聞に雇われた記者で今は大学で勉強しています」


花畑「アルバイト・・アルバイトにしては、ちょっと真面目過ぎるんじゃないのか?普通の記者のように適当に障害者の社会参加は素晴らしい!と、なぜ無責任に適当に偽善記事を書かないんだね?」


他の大手新聞社の記者「そうだよ!早く質問終わらせろよ!俺は障害者福祉なんてどうでもいいんだよ!適当に美化して早く帰りたいんだよ!」


リコ「すいません。僕の姉は精神障害者で福祉を削られた結果、餓死で亡くしました。姉のような悲劇を繰り返さないためにも知事がどういう根拠や裏付けがあって全ての障害者が社会参加ができると主張しているのか?」


リコ「障害者施設ゼロ化、障害者の社会参加という美名の元に、実は障害者福祉費用の削減をしようとしているだけじゃないのか?ということをお伺いしたいんです。」




花畑「そうか・・私も無論!増大する社会福祉費を抑制するために障害者施設を無くしたいと思っているよ」



リコ「障害者施設を無くしてしまったら、日常行為、つまり(食事・入浴・歩行・着替え・寝起き・トイレ)ができない人はどうするんですか?」


花畑「それはグループホームに入れるなり、一人暮らしさせればいいんだ!」


リコ「今ですら介護職員は不足しているのに、障害者を一人暮らしさせればさらにヘルパーが必要になります!その人材どこから連れてくるんですか?」


花畑「外国人労働者を受け入れればいいんだ」


リコ「しかし、外国人に日本語を勉強させる必要があり、無料では外国人労働者は来てくれませんね。結局、外国人受け入れにも税金がかかり高齢化で福祉費も増大し、障害者も脱施設化で一人暮らしをさせると財源がなくなりますが・・」


花畑「障害者は障害者施設で一生を終える。君は気の毒だとは思わないのかね?」


花畑「障害者が施設に依存する。障害者施設で一生を終える。だから次々、施設を建設しなければならない。だから税金がかかる。それじゃキリがないだろう。」


リコ「しかし、それは仕方がないことではないんですか?できることとできないことがある。障害者をすべて一人暮らしにさせて障害者一人につき健常者が一人面倒をみるというのは、障害者施設を維持するより費用とマンパワーが膨大にかかりますよ」



花畑「だから!障害者も一般企業で働いて障害者も税金を払えばいいんだ!」


リコ「しかし、すべての障害者を一般企業に就職させるのは無理では?生産性の観点から考えると障害者の介護をしている健常者を一般企業で働かせた方がいいんじゃないですか?」


花畑「そんなことない!障害者だって真面目に一般企業に正社員になっている人もいるし。健常者より優秀な人はいる!5人の女性と不倫している障害者もいて健常者よりも無駄に不倫している人もいるじゃないか!努力すればみんな障害者は社会参加できるんだ!」


リコ「では、社会参加できてないのは、努力が足りないということでしょうか?」


花畑「そうだ!障害者は障害を言い訳にして、ささやかな人生を選択してしまうからダメだ!もっとパッションが必要だ!パッション!」


リコ「パ、パッション??」


花畑「情熱だよ!情熱!君も若いんだからもっと情熱を持ち、可能性を信じるべきだ!未来に希望を持たなきゃーいかん!」


リコ「これは情熱とかそういう問題ではありません。人の暮らしや生死に関わる話です」


リコ「障害者福祉が充実することは素晴らしいことです。しかし、弱者を助けるのにお金がかかるのも事実で、問題はそれを維持できるのか?無理のない負担なのか?それが維持できなくなった場合、問題が起きるのは明白です。」



花畑「近頃の若者は保守的で夢がないからダメだ!世の中にはやってみなきゃわからないこともある!じゃ、私は用事があるので、これで失礼するよ!」


そう言って、花畑知事は立ち去る


リコ「で、ですが、知事!過去に社会学者ゴッフマンは障害者施設を無くしたら障害者がホームレスになったと・・・知事!知事!」


秘書「知事は次のご予定がありますので、これ以上の質問はご遠慮ください」


後を追いかけて質問しようとリコを秘書が制止する



リコ「なに一つ、具体的な話はなかった・・・明らかに無計画だ。これは大変なことになるかもしれない・・」

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