第2話 ネットに承認欲を追い求めた男の末路・・・



1週間後・・・



ハッキング大会会場


司会「それでは!ルールを説明いたします!皆さんには一つでも多く。当、湘南ホワイトハッカー大のネットワーク上から脆弱性を探してもらいます!」


司会「もちろん!湘南ホワイトハッカー大学が運営する学生と教員のためのSNS「shonatter(ショナッター)からも脆弱性を探していただいて結構です!」


司会「制限時間の1時間以内で脆弱性を多く見つけた人が優勝です。脆弱性を見つける方法は自由です!BOT、AI、スクレイピングなどのツールを使用してかまいません。


司会「不正アクセスも湘南ホワイトハッカー大学のネットワーク内なら自由です!」


司会「脆弱性を探すときは、不正行為やカンニング行為がないかチェックしますので、机に置かれたマイクのついたヘッドセットをつけて声を出して実況してください」



リコ「(声をだすとか・・・はずかしいな・・)」



桐谷タクヤ「あーまったくついてないよ!いきなり大学に入ってハッキング大会って、俺は海外ドラマを観てハッカーがかっこいいと思って入学しただけなのに・・」


桐谷タクヤ「プログラミングはできるけど、脆弱性とかは、まだ、わかんないし」


学生B「俺たちは、大学の宣伝のための、ただの当て駒だろ」


学生A「ホント、これなんの罰ゲーム?俺プログラミングはPYTHONしかできねぇし、WEB言語とかわかんねぇよ・・負け確定のヤツゥwwじゃん!」


学生C「適当でいいよ・・IT勉強するために大学にきているのに、なんでいきなり試されるわけ?これから勉強すればいいじゃん!」




リコ「(そうだろうか・・これからじゃ!だめなんだ!トップクラスのウイザード級ハッカーは子供の頃からプログラミングをやっているのに・・)」





楽太郎「ふん!さっきから話を聞いていれば、どいつも!こいつも!やる気のねぇ奴らが騒いでんな!!さっさとやめちまえよ!!!」


桐谷タクヤ「なんだと!偉そうに!おまえ!いきなり!なんなんだよ!いきなりステーキじゃあるまいし!!」


楽「僕かい?このボクは!子供の頃からプログラミングをやっている!ハッカーさっ!」



学生B「プッw何こいつwださっ!お前みたいなデブはクールなハッカーじゃなく、ただのパソコンオタクなヤツゥwwwwだろ?」


学生C「おい!そういうこと言って人を馬鹿にするなよ!こいつ楽太郎とかいうやつだろ。確か・・最近、テレビでも取り上げられている金持ちのホワイトハッカー」


学生B「それマなの?マ?」


楽「ふん!思い知るがいいよ!子供の頃から何十冊も、お高いIT専門書を読んでプログラミング教室で英才教育を受けてきた。この金持ちのハッカーのボッキュの実力は君たちとはレベルが違うんだと・・・」





リコ「(トップクラスのウイザード級ハッカーは子供の頃から1冊5000円もするIT専門書を買い込み何十冊も読んでいる。僕には家族がいない。だから貧しい。貧しくて1冊5千円もするIT専門書を何十冊も買えない」



リコ「(だから僕はトップクラスのハッカーには勝てないだろう・・でも、僕には・・・)」


リコ「すみません!質問してもいいでしょうか?」


司会「はい?なんでしょう?」


リコ「SNSから住所特定したりパスワードを当てたり、重要な個人情報を入手できた場合、ポイントにカウントされますか?」


司会「えっ?SNSから住所を特定ですか?」


リコ「はい!つまり、プログラムの脆弱性ではなく、人の脆弱性を探し当てた場合でもカウントされますか?」


司会「えっ・・・と・・・ちょ、ちょっと審判の方に聞きますね」



そう言って、司会進行の女性は審判と思われる老教授に聞きに行った。



学生A「ちょw!あいつ!何言ってんの?SNSから住所特定だってwwそんなのできるわけねぇじゃん!」


学生B「馬鹿じゃん!SNSに自分の個人情報を自分で公開するアホなんているわけねぇじゃん!」


学生C「SNS見ただけでパスワードなんかわかるわけねぇし」


楽「(ふん!ハッタリだろ・・・大方、パスワードを総当たり入力してパスワードを当てて個人情報を入手する気なんだろうが、制限時間1時間以内でできるわけがない!!」


楽「(8ケタの英大小文字+数字のパスワードでは約218兆通りのパスワードを入力しなければならない・・・高性能なPCでも13時間は最低でもかかる・・)」


楽「(どう見ても安そうな。あいつのノートPCで1時間以内に大量にパスワードを当てるのは無理だ)」


楽「(おそらく1アカウントも解読できないだろう・・・こいつも雑魚か・・・ああつまんねぇ。ドイツもコイツもやる気のない雑魚ばかりだ)」


楽「(勝つのは!この天才ハッカー!楽太郎様だ!)」



審判「いいじゃろ。人の脆弱性もカウントしよう」


司会「よろしいんですか?」


審判「現実のハッカーは人の脆弱性を突くサイバー攻撃をするのだから、当然、認めるべきじゃろ」



リコ「ありがとうございます!」



審判「しかし、人の脆弱性を探すとは・・・あの子・・・もしかして・・・」




司会「それでは、他に質問はなさそうなので、開始します!」




ファーン


開始のサイレンが会場に鳴り響いた


と同時に


リコは自分のPCから、ツールを起動した


リコのPC「SNS解析ツール。「マルコムX」を起動します」


リコ「さぁ・・図書券をもらいに行こう・・」


リコ「マルコムX・・差別と闘った偉大な偉人よ!僕に力をお貸しください・・・」



と、その時・・・



楽太郎「WEBカメラから、CWE-200!!!発見!!!一番槍!!貰った!!!」



司会「おっと!期待の新入生。ホワイトハッカーでマスコミでも有名な楽太郎君は、さっそく!WEBカメラの脆弱性を見つけました!」


大学生一同「なにぃ!!もう!脆弱性を探すなんて、うそだぁ!!!!」


楽太郎「ふん!これが実力の違いさ!」




桐谷タクヤ「CWE200って何??・・・ついていけねぇ・・・」


桐谷タクヤの隣の席に座っていた中国人留学生オウジハンはツッコム



オウジハン「情報漏洩・・特定のリクエストをWEBカメラに送ると認証情報などが見れる脆弱性・・そんなことも知らないでハッカーになる気なの?」


桐谷タクヤ「う、うるせぇ!CWEなんとかが・・・ハッキングのすべてじゃないんだよ!ソーシャルエンジニアニングとか!ソーシャルエンジニアニングとか!」





審判「そこ!静かに!」


桐谷タクヤ「スイマセーン。怒られちゃったよ・・・」


楽太郎「あれれ?みんな!ボキュのこと、デブのパソコンオタクとか言ってた人がおりゅけど!まだ脆弱性見つけられないヤツおりゅりゅ??お兄ちゃんたちイキっていたのに・・・まだ見つけられないヤツおりゅ?ネェ?ネェ?ねぇマダ?待ちくたびれた!」


桐谷タクヤ「うぜぇ・・・ハッキングは、ぜ、脆弱性がすべてじゃないんだよぉ!!」


オウジハン「・・・ナメられたもんね」


楽太郎「まぁ・・・君たちには脆弱性なんて一つも見つけられないだろうけど、ボキュはもう見つけたんで!まだ見つけられないアホとかおりゅ(´・ω・`)?」


大学生A「なんだと!楽太郎め!ちょっとテレビで天才ホワイトハッカーと持ち上げられているからって!!!」


桐谷タクヤ「お、俺たちの中にだって一人くらいできる奴が、い、いるかもしれないじゃないか!」



楽太郎「いないよ!言ったろ?僕は君たちとは出来が違うんだ!なんたって子供の頃からプログラミングを勉強しているハッキャー!なんだからねー君たちがかなうわけ・・・」



司会「おっと!!!これは!なんだ!10番の足立利虎(アダチリコ)選手。こんな!ハッキングは見たことがありません!!!次々SNSから住所を特定しています!!」



リコPC「特定ランダム。特定しやすそうな人をリストアップします」


リコ「一番上の男性は?」


リコPC「サトウタカシさんのアカウントの投稿内容をMeCABで言語抽出します」


リコPC「近所情報 今日は息子の運動会で・・・写真あり 報告癖あり 今トイレなう ブリブリブリュ なお遅刻する模様 もよお・す。だけにね(´・ω・`)v   報告癖あり 景観情報あり  虹がでてたので家のベランダから撮影したよ☆(・ω<) 画像あり」


リコPC「サトウタカシさんの個人情報を特定できる確率80パーセント」


学生A「なんなんだ・・・あのツールは!SNSから、変な書き込みを次々、勝手に抽出しているぞ・・・」


楽「スクレイピングと言ってほしいね!ふん!素人どもが!」



審判「やっぱり・・リコーン・・・か」



司会「えっ?リコーン?」



司会「(そういえば聞いたことがあるわ。合法的に公開されている情報を色々分析して、情報を入手するタイプのハッカー。


アメリカでは、サイバー犯罪の10パーセントの被害を出しているとも言われ不正アクセスを使用せずに情報を入手されるので誰も気が付かず、


その実態はよくわかってない。ってアメリカのハッカーサイトで見たことがあるわ)」



リコ「近所情報、運動会の写真のテントに書かれた名前から杉並区のAA小学校と判明。杉並区の条例では小学校の学区は半径1km圏内と定められているから・・」



リコ「学区から標的の住所を絞り込み。報告癖の投稿から、虹の写真をベランダから撮影している。このベランダから撮影した写真に通信塔が見える」


リコ「通信塔を塔MAPで検索。学区情報から学区の東に通信塔を確認。アングルから学区をさらに絞り込み。AA3丁目の付近の可能性」


リコ「虹をベランダから撮影した写真の手前に写っている赤い屋根の家をグーグルマップで探す。マルコムX候補は?」


リコPC「その地域には赤い屋根の家が6軒あります」


リコ「順番に見せて・・」


リコPC「はい」


リコ「ストップ!3番目・・これだ」


リコ「近所情報、景観情報、照合情報。3つ揃った!精密特定実行!」


リコPC「答え・・・標的の住所は杉並区AA3丁目B番地・・・」



桐谷タクヤ「マジかよ!!!SNS見ただけで住所特定しやがった!!!」


楽「ば、ばかな!!こんなのインチキだ!」


審判「ふぉふぉふぉ」


楽「(慌てるなボキュ!!!どうせマグレに決まっている・・・だ、だいいちパスワードは特定できてないじゃないか・・)」


リコ「パスワードプロファイリング!」


リコPC「誕生日に関するツイート検索 今日は俺の誕生日。祝ってくれる人RTして(´・ω・`)ねっねっねっ?」


観客学生C「もうやめて!タカシさん!住所が特定されているのに!!」


観客学生B「なにやってんだよ!!!たかすぃぃ!!!!!」



リコ「サトウ・タカシさんの誕生日は11月15日。」


リコPC「趣味情報 TKB四十八(シジュウハチ)の、ミユたんがカワイイ!(*´Д`)ハァハァ TKB ミユ の書き込みがアカウントから多く抽出されました」



リコ「誤字脱字は?」



リコPC「誤字や脱字箇所、334ツイートに、みつかりました。」


リコ「誤字を直さないと言うことはめんどくさがり屋タイプ、適当なパスワードで使いまわしをしている」



リコ「TKB、ミユ、1115、ミユの誕生日の0219、タカシ、サトウ、を組み合わせて総当たり」



リコPC「パスワード。MIYU1115 でログイン成功しました。」


司会「おっと!リコ選手!パスワードの解析に成功しました!」


楽「なっ!バカな!」


楽「どういうことだ!8ケタのパスワードの解析は約218兆通りのパスワードを入力しなければならないのに!!なぜなんだ!!!」


楽「SNSを見ただけで・・・なんで!なんで!!わかるんだ!」


審判「ふぅむ・・218兆通り総当たりしなくても。、SNSの書き込み内容から的を絞りパスワードを当てる。彼は間違いなくリコーンじゃな・・」


桐谷タクヤ「SNS見ただけで、パスワードわかんのかよ!嘘だろう・・・」


リコ「答え、サトウタカシ 杉並区在住AA3丁目B番地 パスワード MIYU1115 


推定年収800万円 趣味 TKB四十八のミユの追っかけ 家族構成 既婚者男の子一人 妻 マタヨ 子供 ダイゴロウ。」


桐谷タクヤ「タカシさん!何やってんだよ!SNSに色々投稿して個人情報を解析されてっぞ!」



学生C「全く誰だよ!サトウタカシって・・・」



学長「それは!ワシじゃ!」



桐谷タクヤ「あんた!トップクラスのセキュリティ人材を育成すると言って!SNSに個人情報を自分でバラまいてどうする!」




学長「だって・・・RTしてほしかったんだもん・・・」




大学生一同「はらら・・」


オウジハン「ネットに承認欲を追い求めた男の末路・・・」

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