第一章 三

「やっぱり。君、さっき三丁目の河原にいたよね?丁度、僕もひとりで散歩していたんだ。そしたら、偶々たまたま君を見かけてね。話しかけようと思ったんだけど、声をかけるべきじゃないと思ってやめておいたのさ。だって、…君にまた会えることはわかっていたからね。あ、申し遅れたね。僕は峯田みねだカイ。最近この街にやってきたんだ。」

柔らかい微笑むような、それでいて得意げで自信に満ちた表情を浮かべながら峯田は僕に言った。

「…そうですか。」

僕は素っ気なく返事をした。

それは、出会ったばかりの見知らぬ存在と自分との間に、今まさに生まれようとしている新しい関係に対して、これ以上こちらの領域に干渉してくるな、という意図を込めた短い返事だった。

僕はその場を立ち去ろうとした。

そんな僕の意志をはねのけるかのように、峯田は言った。

「君は僕のこと、どっちだと思う?」

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