魔法少女とロボット兵器
ふゆつき
第1話 空からの墜落してきた少女
それは流星ではなかった。あまりにも歪な星が夜空を舞っていた。
「ちぃ魔力が漏れている!?」
赤い光を纏ったそれは、人の形をしていた。四肢をもった機械が空を自在に飛んでいた。
金属が削れる音が響く。赤い機体の後部から火花が散る。
高速で動くなにかがいた。
「センサーが追いつかない!?くそ!どこだ!」
今の攻撃で赤い機体は高度を一気に下げていく。
メインモニターがそれに追いつく。黒い機影が映し出される。
「そこか!!」
もはや滑空するしかない状態で反撃をこころみる。赤い機体の胸部分から光の榴弾が放たれる。
何発かは命中したらしい。しかし反動で赤い機体はバランスを崩し、落下スピードを増してしまう。
地上の闇に呑まれていくしかなかった。
生徒会の仕事で久しぶりにこんな時間になってしまった。しかしおかげで綺麗な夜空を見ることができた。人気のない道なのでつい自転車をこぎながら空を見上げてしまう。
流れ星だ。
?
その流れ星は長い円弧を描きながらまだ消えない。いや大きくなっている?
僕は自転車と止め、その流れ星を目で追う。ぼんやりとだがそれの形が見えてきた。
わかった時にはそれがこっちに落下してると理解する。だがもう遅い。凄い速さで落下する人型のそれは僕のいる場所に
その大きさの割には落下音は大きくはなかった。だが衝撃で僕は数メートル吹き飛ばされ辺りには風塵で何も見えない状態だった。
「い、隕石か?じゃないよね?」
最後の見たそれはそんなものではない。
僕は恐る恐る落下の中心地を目指す。風塵もどうにか落ち着いてきたので地面ぐらいは見えるようになっていた。
口の中がジャリジャリする。空から細かい砂が降ってくる。
穴があいていた。
コンクリートが抉れ土が露出するほどの穴が目の前に。
だがそれにしては穴のサイズがおかしい。落下してきた赤いあらは僕の何倍もの大きさだった。だとすればこのサイズではおさまらないはずだ。
まわりの視界が回復しだす。月明かりが地面を照らす。
「え?」
穴の中には一人の少女が倒れていた。
「おい!大丈夫か!」
体が勝手に駆けだしていた。
僕は最悪の事態を想定しながら、彼女の肩に触れる。
「生きてる……よな」
体温が伝わってきた。しかし、どうやって意識を取り戻せばいいのか?下手に体を揺すれば後遺症がでるかもしれない。
「うぅ~う~ん」
少女の口が微かながらひらく。
「おーい!動けるか?痛いとこはないか?」
外傷は確認できないが、あたりの状況から考えてありえない。
「……ここは?私は負けたのか?」
少女はまだ意識が混濁しているらしく、意味不明な事を呟いている。
「動けるかな?」
僕が手を差し伸べると少女は不思議そうな顔を向けてきた。
「あなたは?」
「ちょうどここを通りかかったものだよ。君が空から降ってきたんだ」
彼女の瞳に意識が燈りだす。さっきまでの可憐な少女だったのが、一気に冴えた表情になる。
「そうか。すまないな」
僕の手を借りずに少女は立ち上がる。服は泥だらけだが怪我はないようだった。
やはり……この子は
「本国と連絡がとりたいが……くそ魔力が残っていない。人間さん、ここはなんていう場
所かな?」
「ここは、セント丸子。川崎のほうの丸子だよ」
「セント……丸子?まさかあのセント丸子なのか?」
なぜか少女は興奮している。
「ならば次の段階に入るしかないな。運がいいのか悪いのか」
思案がまとまったのか、少女が僕に再度向き合う。
「人間さんよ。迷惑をかけたな。この礼は必ずする」
少女は一礼をすると、暗闇に向かって歩みだす。
「君は」
「うむ。私は魔法少女だ」
少女は闇に消えた。
魔法少女とロボット兵器 ふゆつき @huyutyki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔法少女とロボット兵器の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます