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「忘れちゃったわ。でも、この桜の木の下には間違え無く死体は埋まって無いわよ。だって、私達が穴を掘っている所が正に桜の木の下でしょ? これだけ掘っているのに死体なんて出て来て無いもの」
「確かにそうだよね。それに、桜の木の下に死体を埋めるなんて何だか気持ち悪いし、そんな物埋めるくらいなら僕はもっと違う物を埋めるよ」
良がそう言うと、瞳は目を輝かせた。
「例えばどんな? りょう君ならどんな物を埋めるの?」
良はうーんと唸って考えると、ニッコリと笑ってこう言った。
「僕なら、自分の宝物を埋めるよ! この秘密の穴に宝物を埋める!」
「宝物……素敵じゃない! ねぇ、本当に埋めましょうよ、宝物! お互いの宝物を埋めて、それで大人になったら二人で一緒に掘り出すのよ!」
瞳のアイディアに、良は喜んだ。
良には、それはとても良いアイディアに思えた。
「うん、そうしようよ! ねぇ、今から宝物を取って来て見せ合わない?」
興奮して言う良に、瞳は深く頷いて言う。
「良いわよ! じゃあ、家まで取りに行ったらまたここに集合ね!」
「うん、分かった! じゃあ、また後で!」
「また後で!」
二人はそう言い合うと、駆け足で自分の家へ向かった。
なんて楽しいんだろう!
なんて素晴らしいんだろう!
今日という日は特に! 特に!
二人の心は嬉しさでいっぱいだった。
二人はそれぞれ家に着くと、急いで靴を脱ぎ、自分の部屋へと入る。
そして、沢山有る宝物の中から取っておきの物を選び出すと、それを持って急いで秘密の場所へ戻った。
楽しい! 素晴らしい!
今日という日は特に! 特に !特に!
二人は肩で息をしながらお互いの顔を見た。
ずっと走って来たから、二人の頬はうっすらと赤く染まっていた。
「早かったね、ひとみちゃん」
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