第5話 根来衆
温泉も出来上がってきた。
芳乃の方も食事の用意が出来たみたいだ!
温泉の製作は一時中断して、俺は芳乃が作った飯を食べる事にした。
焼いて塩と臭み抜きの香辛料を使っただけの飯だったが!
それでも、食べる物があるだけ幸せだ。
芳乃は飯を作るのが、凄く上手なのである。
この肉も、焼く前に肉を叩いて柔らかくしてから、塩と香辛料を
まぶしているのだ。
料理と言えば、焼く・煮る・炊くしか無いが、最近では巷で話題の揚げる
と言う料理も芳乃は作れる。
南蛮人から伝わった。天麩羅と言う料理だそうだ。
この天麩羅と言う料理は、食べて見ると中々に旨い。
衣と言うサクサクした口ざわりに、衣の中に入っている食材が
衣と天麩羅つゆに味を高めていた。
そんな天麩羅に、ひけを取らない位の肉料理である!
肉を細長に切り分け、一口大い切った後に味付けしていた。
それを木を削った串に刺して焼いたのだ。
焼き串とでも言ったら良いだろう。
明日は、また大鹿を仕留めたかった!
大鹿の角が、以上なまでに丈夫で、鋤として使用しても
鋤の先が欠けなかったのだ!
大鹿の角で、斧を作れば木の伐採に使えるだろう。
そんな事を思っていた矢先!
何かが飛んできた。
飛んできた物を見れば、そこには地面に刺さっている苦無が
目に入ってきた!
「誰じゃ!?」
好成はそう告げると、名を名乗っていたのだ。
「俺は摂津と堺の近くに住む、来一族の者である!」
そう告げると、闇の中から姿を表したのは、2人の
好成と芳乃は警戒しながら、その女子達に問いただした。
「そち達は何者じゃ?」
その問いに対して、女子の1人が返答しだした。
「根来衆の者だ!来一族と言うと、本願寺軍の来砦を守っていた者か?」
女子達は、本願寺軍の援軍として参陣していた、根来衆のくノ一達みたいだ。
女子達も石山本願寺城の乱戦で、仲間達と逸れたのだろう?
「俺は、来好成!来一族の本家の次男坊だ」
「私は、好成様の許婚の芳乃よ!」
その答えに女子達は、膝を付いて頭を下げていた。
「これは来様とも知らずに、失礼をしてしまい申し訳有りません」
「私は、静と言います!こちらが秋です」
静と秋と紹介されたくノ一達は、忍だけあって無駄な肉や脂肪などは一切
なく、痩せているが引き締まった身体に、整った顔立ちの者達であった。
遊女と言われても、信じてしまう程の美しさである!
静と秋から事情を聞くと、来砦が織田軍に攻め落とされた事を知らせる
為に、2人で戦場を戻っていた時に、行き成りの爆発に巻き込まれた。
そう静と秋は言っている。
来砦を飛び出して、織田軍の中に飛び込んで爆発させた余波が、
2人を巻き込んでしまった可能性がある。
もしかして......俺が原因で2人を巻き込んだのかな?
芳乃の耳元で、そう呟くと芳乃も顔を青くしながら、強く頷いてみせた。
好成は話を逸らす為に、静と秋の手荷物の事を尋ねてみた。
「私は、刀と苦無だけです」
「私も、刀と手裏剣があるだけです」
2人は、同じ様な物しか持ってなさそうだ。
鉄砲は俺が持ってきた3丁だけである!
芳乃・静・秋に1丁づつ持たせれば、戦力としては役立ちそうだ。
弾と火薬があれば、3人で三段打ちが出来るからだ!
だが.....火薬と弾は当分の間は、生産の目処も立たないから無理である!
鉄砲は只の飾りでしかない......
2人もお腹が空いているであろうから、芳乃が作った肉料理を出してあげている。
そうすると!2人も凄い勢いで、肉を食べていったのだ!
あっと言う間に、串焼きはなくなってしまい後は、寝るだけだが、
獣が夜中に襲ってくるとも限らないので、先に見張りを買って出た。
そうして、その日は無事に過ぎていった。
(あっ....温泉に入ってなかった!)
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~根来衆~
本願寺に使えた傭兵集団である!
戦国時代に紀伊国北部の根来寺を中心とする
一帯に居住した僧兵たちの集団である。
雑賀衆と同様に鉄砲で武装しており、
傭兵集団としても活躍した。
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