第4話 獲物と温泉!
山塩と香辛料が手に入った。
残るは食材の確保だけであった!
林には獣の鳴き声が木霊しているから、大物が捕れる可能性がある!
林の奥に行くと、木々が密集している森になっている。
林までは見通しは利くが、森の中では木々が邪魔で見通しが悪くなっている!
どんな獣が居るかも解らない、そんな状況下で森に入るのは危険だと、好成は
思っていたが、林には獲物となりそうな獣は居なかった。
危険だが森の中に、進んで狩りをするしかない!
好成は刀を抜き放ち、慎重な足取りで森の中に進みだした。
芳乃も苦無を構えると、好成の後に続いて森の中に足を踏み入れた!
森の中を半刻も進んだだろうか?
獣の鳴き声が、近くで聞こえ出していた。
やがて見えて来たのは、大きな鹿が目に入ってきていた!
日ノ本の鹿より、数倍の大きさはあるだろう!
刀と苦無だけで倒せるものか、好成は考えあぐねていたのだ。
だが.....大きな鹿を倒さねば、当面の食料に事欠く事に成ってしまうのだ!
日ノ本の鹿ならば、人間の姿を見ただけで逃げ出すが、この大鹿は人間と見るや
襲い掛かってくる勢いだった。
それだけ大鹿が獰猛だったのだ!
大鹿には、その巨体と同じ位の大きな角があり!
人間が角で突かれたら、間違いなく死ぬであろう。
芳乃もそれを解っていたのか、好成の顔を見て頷いていた!
2人は、覚悟を決めて大鹿の前に姿を晒した。
既に大鹿には2人の存在は、解っているのだから、今更であったのだが
戦闘は隠れたままでは行なえないのだ!
意を決しての戦闘である!
鉄砲があれば、隠れてからの射撃もできようが、弾も火薬も切らせている。
好成は大鹿を如何に倒すかを考え出している。
大鹿の角を避けてから、横合いに回りこみ首に向けての一太刀?
大鹿が首を振るだけで、此方の間合いにいとも簡単に入って、此方を攻撃するであろう!
そうなれば、鎧を着込んでいても、被害が出るのは明白である!
あの大鹿の角で、鎧を突かれれば鎧など意味はない。
そうなると、芳乃の苦無で大鹿の目を引き付け、その隙に大鹿の足を狙っての
一太刀が有効かも知れぬ!
大鹿の下に滑り込めば、此方に勝機が有るやも知れぬ!
そう考えた好成は、すぐさま芳乃に伝えたのだ。
大鹿の目に向けて苦無を投げよと!
芳乃の苦無の命中率は、驚くほどに高かった。
まさか大鹿の両目を苦無で、潰してしまう程とは.....思ってなかった!
両の目を潰された大鹿は、好成の刀で首を刎ねれる。
大鹿の皮は敷物にもなるし、寒い時は暖を取る為の毛皮にもなる!
角は加工して、尖った角の先などは、槍などに加工すれば良い!
そうすれば、川などで魚を捕る為の銛としても使える!
肉で食べきれない分は、干した後に燻製にすれば保存食として長持ちする!
内臓とかは、流石に食べはしないが、次の獲物の為の撒き餌として使える。
毎日、同じ場所に餌を撒けば、獲物が遣ってくるからだ!
こうして森の中を半刻程、入った場所に狩場が出来上がっていた。
大鹿を林の方に運んでいる最中に、来た方向とは少しズレていたのだが
無事に林に辿り着いたのだった。
その林の出口は、窪地になっている!
林から窪地を見ると、湯気が立っているのが解る。
山塩が取れた場所から、下流に来た場所だったのだろう?
流れる水がしょっぱかった。
そして、水ではなくお湯になっている!
温泉を作れば、露天風呂だが入れるのだ。
戦で疲れた体ではあったが、温泉の魅力には勝てずにいた。
芳乃に大鹿の肉の処理を任せて!
好成は温泉を掘っている。
小川の水が、温かくなってる場所をまずは探したのだ!
そうした場所を探し出すと、後は掘るだけだった。
此処で役になったのが、大鹿の角で作った
根元の部分を平らに削り、腕の長さまでの鋤を作ったのだ。
この鋤は丈夫で、木で作った鋤などと違う、鋤の先が欠ける事が
なかったのだ。
鋤を2本も作っている。
後は林で拾い集めた石を温泉の周りに、敷き詰めていけば、立派な露天風呂の
完成であった!
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~豆知識~
鋤とは、現在の形で言う所のスコップである。
昔のスコップは、鋤の先が鉄で覆われ木が欠けない様に
保護していたのだ。柄は現在も一緒で木製である!
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