第3話 山塩と香辛料
好成と芳乃の2人は、気が付くと見知らぬ土地に立っていた。
手に持って入る物と言えば、鉄砲・竹筒焙烙・苦無・刀だけである!
この世界の銭などは、貰っていなかったのだ。
あと持っている物と言えば、声だけの主から貰った、不思議な形をした物だけだ!
声の主は、困った時に使えと言っていたが、困った時にどう使えば良いのかも不明だった。
曖昧な言葉で言われても困ると芳乃は、心の中で思っていたのだ!
だが!
無いよりはマシであったから、それ以上は何も言わないでいた。
好成の方を見みると、状況が掴めずに困惑している!
芳乃の方は、逆に好成と2人で暮らせると聞いていたので、期待に心を膨らませていたのだ。
この2人の心の差は、一先ず置いといて!
辺りを見渡すと、そこは今まで見たこともない風景だったのだ。
日ノ本とはあきらかに違い!
見た事もない草木が生い茂っていた。
好成は困惑し、芳乃は心躍っている!
この場所は何も無い平原であった。
見る限り、平地が広がり、遠くを見ると小高い山々が連なる。
見た事無い風景であったが、決して嫌な風景ではない。
逆に心が落ち着く風景であった!
好成は芳乃に、此処は何処かと訊ねている。
芳乃の口からは、精霊と妖精の世界・アールブヘイムと言う単語が
発せられていた。
芳乃も言ったものの、精霊と妖精と言う2つの聞きなれない言葉に
頭を悩ませていた!
好成はそれ以上に、頭が混乱している。
そうこうしている内に、2人ともお腹が鳴り始めていた。
最後に飯を食べたのは、合戦が始まる前だけだったからだ!
流石にお腹も空く。
2人は食べ物を探すために、その場所から移動を始めている。
目指すは山の麓に広がる林であった!
林にならば、何かしらの食べ物になりそうな動物が居る筈だ。
そう思いながら、2人は林を目指している。
林に着く前に、上空に鳥が飛んでいたが、鉄砲があっても弾と火薬がなかった!
弓は得意ではないが、使えない事はない。
だが弓も無かったのだ!
飛び道具であるのは、苦無と竹筒焙烙くらいである。
流石に食べ様としてる物に、焙烙を投げつける訳には行かないので
竹筒焙烙は無しである!
そうなると、残るは苦無だけであった。
苦無を使い、林の中で鳥か小動物でも取れれば、2人で捌いて
調理をして食べれるのだが。
最低でも塩が欲しい所である!
味も付いてない肉を食べるのは、2人とも好きではなかったのだ!
そこで、好成は芳乃に林に着く前に、調味料になりそうな物を探すように
言っていた。
当然として好成も調味料になりそうな物を探している!
芳乃だけに仕事をさせては居なかった。
そんな折に、芳乃が匂いの良い葉を見つけてきた。
好成も匂いを嗅いで見ると、芳乃の言うとおり良い匂いだった!
これの葉をコマ切れにし、肉に擦り込めば、美味しくなるかもと
2人は顔を合わせながら、話し合っていたのだ。
芳乃が見つけた葉を多めに、採取して林に向かった2人は、
林の前にあった岩場に目が行ってしまう!
岩と隙間から流れ出す水に、白い物が混じり出ているのだ。
好成と芳乃は、またも2人で顔を見合っていた!
芳乃は山塩だと、直ぐに直感で解っていた!
白い粉状の物を芳乃の口に運ぶと、「好成様!これは山塩ですよ!」と
好成に叫んでいたのだ!
山塩があると言う事は、近くに温泉があるかも知れない!
そう思ったら、2人は合戦で疲れている体は、温泉を求めてしまう!
お腹を満たせば、次は温泉を探すほかなかった!
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~豆知識~
山塩は温泉などの高温の地下水に岩塩が溶けだしたものとされ、海とは縁のない場所では古くから貴重な塩の供給源として利用されてきた。味も海水とは異なる独特のおいしさがあるという。
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