第2話 精霊と妖精の世界・アールブヘイム


石山本願寺城の出城・来砦の近くで来好成と芳乃は爆発の中で姿が見えなくなった!


2人の周りには、弾が切れた鉄砲が散乱している!


それと村上水軍から譲って貰った焙烙弾と、その焙烙弾と改良した竹筒焙烙が数十個あるだけだった。


織田家の兵を多く道連れにする為に、好成と芳乃は焙烙を集めれるだけ集めていたのだ!


そうして好成と芳乃は同時に、焙烙弾に火を点かさせていった。


そうしてた大爆発だったのだ!


来砦の外壁が跡形も無くなるほどの大爆発だった。


来砦には、大勢の織田家家中の兵や将が群がっていたが、外壁の近くに居た兵士は共に爆発して吹き飛んでいた。


好成と芳乃の目論見通りに事は運んだのだ!


この状況を石山本願寺城の中から見ている、戦奉行も満足そうであった。


来一門の死は無駄ではない!無駄ではないのだ!


そう戦奉行は、自身に言い聞かせていた。


来一門が命を張って、石山本願寺城を守った事は意味があった!


兵の士気が落ちていた本願寺軍に取っては、来一門の勇士が多くの織田家の

者達をほおむったからだ。


この戦いで、本願寺軍の士気は上がり織田軍を追い返していた!


この2年後に本願寺軍は、織田軍と降伏をするのだった.....


だが.....この犠牲なくして2年は持ち応えられなかっただろう。


歴史に刻まれる事は無くても、勇士達の活躍は兵士の心に焼き付いている!





......................................................





{白い空間でのこと}


【来好成!芳乃!目を覚ませ!】


「..........」


「..........」


【目を覚ますのじゃ!】


「んっ.....眩しい.....」


「好成様!」



白い空間には何もなく、誰も居なかった!


だが声は聞こえてきているのだ。


好成と芳乃は、声の主を探してが見当たらない!


だが声の主は、そんな些細な事には興味がないのか、

淡々と会話を続けようとしていた。


【御主達は死んだのを覚えておるか?】


声の主は、そう告げると好成・芳乃の最後の映像を映し出した。


その映像に驚いた2人は、声の主は妖術使いだと確信する!


「貴様は妖術使いなのか?」


好成が声の主に、そう問い掛けたのだが声の主は答えなかったのだ。


【御主達は、こうして既に死んでおるのじゃよ!】


声の主は、そう告げると好成・芳乃に死んだ事を思い出させる。


【戦乱の世だから、仕方ないのだが御主達は、余りにも若い.....】


そう告げられた好成と芳乃だった。


好成は、この人物が何を言っているのかが、さっぱりと解らなかった。


それもそのはず、好成と芳乃は死を覚悟して死んだのだから!


死んでても、当然なのである。


それなのに、今更、死んだ事実を突き詰められても......困惑するだけだ。


【そして許婚でもある2人が、一緒に死んだ事も同情の余地があるのじゃよ】


声の主は、好成の困惑した顔など、見ていないのだろう?


話を続けていた。


【そこでじゃ本題に移るぞ!儂も~御主等が可哀想になってな、

       少しだけ御主達が幸せになる協力をしようと思ったのじゃよ!】


好成「?」芳乃「!」


【好成はピンっと来ないようだが、芳乃は解った様じゃな?】


好成「んんん?」芳乃「うんうん」


【日ノ本の国では無いが、精霊と妖精の世界・アールブヘイムと

            言う世界があるのじゃが.....どうじゃ行かんか?】


好成「zzzzz」芳乃「精霊?妖精?.....妖術?」


【こやつ.....興味が無くて寝ったぞ?芳乃は行きたいか?】


「好成様と幸せに暮らせるのなら行きます!」


【良かろう!ならばアールブヘイムに送り届けてやろうぞ!】


「その世界では、何をすれば好いのですか?」


【御主達2人で考えよ!】


「平和に暮らすだけでも、良いって事なのですね?」


【そうじゃぞ!それと此れを持っていくが良い!】


「此れは何に使うものでしょうか?」


【困った時に使えば良い物じゃぞ!それとな御主達が

                持っていた物も持たせてやるぞ】


「私達が持っていた物って、鉄砲・竹筒焙烙・苦無・刀しかありません」



それが声の主の最後の言葉であった!


こうして2人は、精霊と妖精の世界・アールブヘイムに赴くのだった。

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