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梅練り

瞳孔と瞳孔で見つめ合う。

頬に手を添え形だけの愛を紡ぐが、見えているものは瞳の奥の

虚言の愛の言葉はその黒い虚無に吸い込まれ、二度と息をしなかった。

「愛している」なんて薄っぺらい言葉を幾ら重ねようと瞳の奥を見透かされてしまえば、

僕は腰を振る屍に成り下がる。

どうぞ、生ける屍を殺してください。貴女の細い指を僕の首に誘導するが、絞める事さえ拒まれる。

そう。

所詮、二人の間に愛は無い。

君は僕を「愛」していないし

僕も君を「愛」していない。

だから僕らは下腹部の疼きに身を任せる。

恍惚とした表情を互いに見せ合い、偽物の「愛」をその目に光らせるのだ。

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見る 梅練り @umeneri_gohan

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