夢が崩れた時


 中学校の文化祭の出し物でクラスのみんなで演劇をした。

主役のヒロインではなかったけど、そこそこ出番がある脇役だった。

舞台を駆け回って、いっぱい動いて、台詞を言って。

覚えるのが大変だったけど役を演じている時は凄く楽しくて

自分自身が煌々としてたのを覚えてる。


 終わった後に見てた人や友達みんなから巴積はつみちゃん凄く良かったねと沢山褒められた。


嬉しかった、誇らしかった。

そこで私は演じる楽しさを知った。夢中になれるものを見つけた。


 進学した高校には演劇部があった。入学してからすぐに私は入部した。

そこには素晴らしい先輩達がいた。私は足元にもおよばず、舞台をする時は脇役を演じることが多かったけどそれでもよかった。

与えられたことは精一杯やる。それは自分にしか出来ないことなのだから。

と、そう祖母が私に言い聞かせてくれたから。


もっともっと頑張ろう。

上手にお芝居が出来るように先輩達から学ばなきゃ、勉強しなきゃ。

そしていつかは自分が主役の舞台で一番のヒロインになるんだ。


そう思って、何にでも取り組んだ。首を突っ込んだ。

素晴らしいモノを作り上げる為に自分が協力できることなら何でもやった。



でも、天は残酷で……高校2年の春に私は病気で倒れて声を失った。


喋れない。人と会話が出来ない。お芝居しても台詞が言えなくなってしまった。


入院してた病院のベッドの上で私は叫ぶように泣いた。

涙が枯れるまでずっと喚き散らし……天を、全てを恨んだ。

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手にふれて 相田秀介 @nanado

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