寄り道 Part.2

「椎名さん、待って!」

「うん?」

教室を出て、玄関へ向かう廊下で後ろから自分の苗字を呼ばれたので椎名夏花しいななつかは振り向いた。

「真幌さん、どうしたの?」

目の前にいるクラスメイトの少女、稲場真幌いなばまほろはまだ息を切らせていた。

「どうしたのじゃないよ、今日一緒に寄り道する約束したじゃない」

「寄り道、そうだっけ」

夏花は頭にハテナマークをつけていた。

そんな態度を見かねた真幌は制服のポケットからスマートフォンを取り出し、

ささっと画面をなぞりだした。

「今日って何かイベントとかどこかでやってたっけか」

頭の中で必死に検索をしている夏花だがそう簡単には出てこない。

うーん、うーんと唸っていたら「これよ、これ!」と力強く言葉を発した真幌がそのままスマートフォンの画面をこちらに向けた。


「映画 ファイティングスクランブル アクションフィギュア Wave.1入荷」


「うわあーそうだった!」

文字とフィギュアの画像を見て思い出した。

「ね、思い出したでしょ。じゃあ急いでプッシュキルトへ行くよ!」

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