第4話「フレンドを増やそう!」
3話で述べたようにルーラの退場劇がまるっと収まった24分間。また、はじめて魔法少女同士の本格的な戦闘が描かれる回でもあります。異能バトルものとしてお手並み拝見といったところですが、アクションシーンは正直どんくさかったですね。ピーキーエンジェルズが一方的にやられるだけにしてももうちょっと見栄えよくできなかったのでしょうか。
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話としては、これまでで一番原作に近い流れだったのではないでしょうか。さあ、異能バトルがはじまりますよって印象付けた直後に、こういう策謀で退場者を出すのがなんとも卑劣(褒めてます)だと思います。あえて変更点を指摘するとしたら、ねむりんの存在くらいですね。
ねむりんの教唆って言うなれば後付けなんですよ。原作本編ではなく、短編「ねむりんの冒険」ではじめて明かされた事実なんですね。そもそも、スイムスイムは何で裏切ったかって言うと、ルーラの言葉に忠実だったからです。「皆がリーダーを目指すことで組織が活性化するのだ」っていうルーラ自身も忘れてるような放言を真に受けて実行に移してしまう。
ここが原作のおもしろいところで、あくまでルーラに忠実であればこそ謀反を起こすっていう、そういうある種ホワイダニットというか狂人の論理的な、あらかじめ提示されたデータから実は一番合理的な行動だったんだってわかる驚きがあったんですね。しかも(これはアニメも同じですが)謀反の前後でスイムスイムのキャラクターはまったくぶれないわけですよ。最も彼女らしい行動が意外な展開を呼び込むっていうアクロバティックなことをやってるわけです(最近のアニメだと『ゼロから始める魔法の書』が似たようなことをやってたりします)。
アニメだと、むしろねむりんの教唆が主な動因になってますよね。本来の動機――「皆がリーダーを目指すことで組織が活性化するのだ」っていう台詞はちょっと微妙な処理で、役割的にねむりんの教唆と重複してるのであんまり印象に残らないんです。結果として「自らの言葉に殺されるルーラ」というアイロニーが薄まっている。ただ変わって前景化した構図がそれはそれでおもしろかったりします。
2話でも軽く触れましたが、ねむりんとルーラはすごく対照的なキャラクターなんです。年齢的には同世代で、どっちもニートなんですけど、ねむりんが就職するために魔法少女をやめたのに対して、ルーラは魔法少女をやるために退職している。その二人の言葉が、スイムスイムに影響を与えるっていうのがおもしろいですよね。しかも、どっちの言葉も発言者の意図を大きくそれてる。ここが何ともまほいくらしいところです。
言うなれば二人の母です。一方のねむりんは子供の夢を後押しして身を引くある種理想的な母親で、一方のルーラは自分を越えてみろと試練を突き付けてくるすごく父親的な母親なんですね。その二人の死を経て、疑似的な孤児となった子――スイムスイムの自己実現の物語がはじまるわけです。お姫様に憧れる彼女らしい、至極、普遍的な物語構造になってるんですよ。
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