ある探求を抱く二人のできごと
第20話 そして時間は現実へ戻る
十日くらいに渡って語られた内容を、改めて
「ちょうど半年くらいの頃か、
「なんでだ?」
超能力、あるいはESP。どちらも同じ意味合いがあるそれは、術式ではなく、人間の持つ能力を超えたものであり、人間の尺度の延長の力だ。曖昧なイメージを力として、それを扱う力なのだが――。
今、光風は10キロの石を空中に浮かせている。
集中は必要だが、初日のよう二分で落とすほどではなく、持続して浮かせられていた。
「聞いた限り、俺ならノータッチだ」
「何故だ?」
「権力に絡むような人物になりえない」
「はは、まあそうだな。――お前、歴史の授業を真面目に聞いてなかっただろ」
「確かにそうだけど……」
「冒険者の迎合、新体制の発足」
「――待ってくれ、それ聞いたことある。近代史っつーか、それこそ最近……え?」
「当時はまだ、冒険者は街の権力からは離れてた。むしろ、離れようとしていたくらいだ。それは
「冒険者っていう武力による勢力図ができちまうってことか? 下手をすれば街の中で争いが起こる」
「椅子に座って、テーブルの上を見てる馬鹿は、それも抑えられると勘違いしがちだ。評議会は権力を握り過ぎてた部分もあるが、まあ、どうであれ鷺城に手を出したら終わりだ。評議会メンバーを殺したのは俺ら四人。評議会と繋がりのある連中を更迭したのが花蘇芳。冒険者の迎合と共に、花蘇芳が権力を持つことになって、平等に限りなく近い新体制が発足した」
「そんなことにも絡んでたのかよ……」
「ここからの話はざっくりな? そこからもう半年くらい街で訓練しといて、そこから外に出た。んで、
「最初、驚かなかったのか?」
「馬鹿お前、鷺城に言われれば、それが当たり前って感じになるだろ。ほかの街があって、驚きよりも納得だぜ? ああやっぱり、まったく鷺城は、やれやれ、そういう感じだ」
「マジかよ……」
「まあ、そこでちょっと用事があって、墓守と逢ったのもそこだな。用事とはいえ、そいつは鷺城のものだ。それが終わったらすぐ、ここへ来た」
「もうか?」
「俺らが腰を落ち着けたいと思ってたのを、読み取られたんだよ。そこからは通常の訓練をしつつ、世界の仕組みに関しての考察を続けた。ともかく、この世界を好きに移動できなきゃ話にならねえ」
「俺に言わせれば、そういう思考がちょっとおかしいよな」
「鷺城の傍にいりゃ、そういうことにもなる。
「ああ、ミルルクさんとこの」
「まだほかの街があるってことを、公表もしてない段階だったから、さすがに隠れなきゃいけないだろ。あそこの奥さんが妊婦だったのもあって、話し相手にもなる。丁度良くて助かったと、デディは言ってたな」
「じゃあ、だいぶここにいたんだ――っと」
ぐらりと揺れて、修正をしようとしたら更に石が揺れたので、そのままゆっくりと下ろして、大きく吐息。傍の木にかけてあったタオルを肩にかけ、額の汗を拭う。
「十五分、もうちょいだな」
「おう、キャロもそろそろ休め」
「おーう」
「リコが生まれてから、ディカを拾ってきて、あいつらが八歳かそこらの頃、鷺城が死んだ」
「……早くないか?」
「話の流れか? それとも、鷺城の死か? そこらへんは、まだ詳しく話さない。いずれ知るかもしれんが、まあともかくだ、それを契機にして、俺らはこの場を離れて、活動を始めた。ノザメエリアに戻って挨拶しといて、ディカとリコを置いて、まずは足場づくりだ。つまり、今の冒険環境の作成だな」
「……なんでそんな面倒なこと、父さんがやってんだ?」
「そりゃお前、できるかどうか確認しときたいだろ。それだけだ」
「あー、なるほどなあ」
「それに、できるやつがやっておくと、できねえやつが、やろうと思わないんだよ。今の光風ならわかるだろうが、外と内ができてる」
「ああ、そいつはディカから聞いた。あいつの故郷は限りなく外側で、普通の冒険者は近寄れない。逆に、冒険できる範囲が内側だ。安全とは言わないにせよ、区切りができる――……だから、ファゼットさんたちは、外側へ行く」
「まあな」
「どうしてだ? なんつーか……冒険が楽しいとか、命を賭けることで実感を得たいとか、そういう曖昧なものじゃなく、理由がありそうに聞こえたんだけど」
「そうか?」
「その、鷺城さんがいなくなってからは、一つの区切りだろ。だったら、それこそ好きに生きても良かったはずだし、たぶん、そうしてるんだと思う。けど、そうした結果、ファゼットさんたちは開拓者として、四人でいる。それって、いわゆる楽しみ方はそれぞれだけど、見てる方向はだいたい同じ――そういうことじゃないか?」
だったらそれは。
見てる方向そのものが、目的のはずなのだ。
「言ってることがわかるか、キャロ」
「なんとなくな」
「まあ、お前はそれでいいかもな。――この世界において、鷺城鷺花は二度死んでる」
「……二度?」
「そうだ。一度目はおおよそ、数千年前。そして召喚されてもう一度だ。つまり……この世界はな、鷺城がいた世界と同じなんだ」
「――違う、のは、肉体の成長が遅い何かがない……それだけ!?」
「そうだ。おそらく鷺城は確信していたし、発掘物の中に俺たちは、鷺城の師匠のサインが入った書類を見つけている。しかも、鷺城が亡くなってからな……。ノザメエリアもそうだ」
「あそこが? いや、何がだ?」
「まずは、名前だ。街同士の繋がりがないなら、街は一つだ。そして、一つなら名称は必要がない。だから俺らがかつて暮らしていた頃、あそこはただの街だった――が、調べれば間違いなく、ノザメエリアだという証明が出てくる。レインエリアは逆に、新しく名付けた。そしてノザメとは、かつて鷺城の故郷と同じ名だ……」
「――」
「もう一つが、お前が通ってる学園だ」
「まさか……」
「そう、あれが鷺城にとっては確信だった。召喚されてすぐ、否応なく発見できる。広すぎるだろ、あそこ。今であっても、せいぜい五割くらいしか使われちゃいねえ。だがあの学園はあったんだよ、鷺城のいた世界に」
だからだ。
「だから、あるはずだろ、何かが――この世界に本来存在していた、鷺城鷺花の名残が、何かあるはずだ。鷺城の世界にも存在していた、エグゼエミリオンの刻印がある刃物もそうだ、この世界にあっておかしくはねえ。だから、俺らはその証明を探してる」
それは探求心であり、自己満足だと、わかっているが。
「まあなんだ、それだけ影響力が強くて、俺らの根っこの部分に、深く楔を打ち込まれてるんだよ……あのクソ女にな」
けれど、でも。
「今はディカやキャロ、リコもいるから、昔ほどの無茶はしねえよ」
ちゃんと帰らないとな、なんて言ってファゼットは笑った。
「けど、ディカの故郷に行くとみんな逃げるとか言ってたぜ?」
「あたしもそれは見たぞ。すげー勢いあって笑えた」
「マジかよ」
「廃墟だぞ、廃墟。でけえのは全部逃げるし、寝てた竜が飛び起きてケツ向けながら逃げるし、両足は直立したまま動かない」
「笑えねえだろ……」
「ありゃしょうがねえ、ディカを拾う時に遊んでやった影響だ。こっちは得物も抜かず、無手で殴ってただけなんだけどな。鷺城ならもっと上手くやるだろうし、あのくらいなら楽しめる」
楽しんでどうする、とも思ったが、過去の話を聞いた今となっては、苦笑するしかない。さすがに光風は、そこまで吹っ切れることはできないが、まあ、笑えるんだろう。
「――あ、そういえば」
水のボトルを受け取り、片方をキャロへ渡してから、丸太に腰を下ろして問いかけを作る。
「ディカとリコさんってさ」
「おう」
「変な言い方だけど、どっちが強いんだ?」
「あー……それなあ」
「なんだ光風、なんかあったのか? 兄さんとリコ?」
「ディカは、リコさんには勝てないって言うんだよ。純粋に実力差、錬度が違うって。あいつは骨董品の商店を開いてるから、訓練時間とか、目指すものとか、そういう違いもあるんだろうって――ま、一度は納得したんだが」
小さく笑いながらディカは言っていたが、しかし、リコは悔しさを隠さず、真面目な顔で言った。
「リコさんは、ディカには勝てないって。一撃を届かせるのさえ、現実的じゃあない――そう言ってたわけだ。俺にはよくわかんねえけど、ファゼットさんならわかるんじゃないか?」
「リコの小太刀二刀は、藍子が教えた。俺らもやったけどな」
「ああうん、畑中さんを見てなんとなく、それはわかった。けどディカのあれも、スタイルはファゼットさんのそれだろ?」
「ベースはな。けど教えたのは鷺城だ」
「――そうなのか?」
「波長が合ったんだろ。リコと違ってディカは基礎ができてたってのも、理由の一つなんだろうが、魔術もだいぶ教わってたな……つーか、本音を言えば、俺らじゃ駄目だった」
「なにが」
「ディカはな、どうであれ、身内には手を出さないと決めている。手合わせをしてても、ある境界で足を止めるようにしてるわけだ」
その境界を、光風は一度見ている。
初めて見た時だ、あの演武の終わり、間違いなくディカの方がそれを受け入れて終わらせていた。
「本気にはならねえよ、あいつは。昔はその身内って範囲も狭かったが、今じゃ
実際には、文句もあるだろうし、応じるだろうけれど、それでもリコを殺すことはない。
「けど現実は、リコの言うように、ディカには勝てない。つまり殺されることもねえよ。というか、ちょっと乗ってる盤面が違うんだ」
「あたしは?」
「お前はリコと同じだ。簡単に言えば、ディカの方が俺らに近い。大局観を持ててる――と、まあいろいろだけどな、そこらへん。だから私闘は禁止させてる。リコがムキになるからと、ディカが困っててなあ……」
「ああ、やっぱリコさんが原因か……」
すぐ想像できる場面だった。
「あたしでも勝てないか?」
「お前の居合いなんて、まだメジェにも届いてねえよ。安心しろ」
「なんで安心しなきゃいけねえの?」
「馬鹿、――まだ守って貰えてる。そのぶんは遊んでいいってことだ」
「あー……」
てっきり、守られることに反発するかと思いきや。
「まだ子供でいいのか」
「そうだ」
キャロはその言葉に、納得した。
そういうところが違うんだよなと、光風は苦笑する。
「そのメジェットさんにも、逢ってみてえな」
「今頃、ミルルクが面倒を見て貰ってるだろ。今じゃ戦闘の教育係として、若いながらに指導してる。怖いもんだぜ? ああいう、成長の余白を残してる若いヤツが、組織の中じゃ三本の指に入ってるってのは」
「なるほどな。それが、鷺城さんが与えた影響ってやつか」
「はは、そういうことだ。未だに、なに一つとして越えたと思えるものはねえな」
「本当に話半分だな……。召喚される前の話とかも、聞いてるのか?」
「それはここに落ち着いてから、世間話くらいにな。あの女、嘘だけは言わんから事実だろうが、俺らには想像しかできねえ。ただ――まあ」
当時を思い出せば、さすがに笑えないのだが。
「鷺城の友人に関しては、よく聞いたな」
「友人?」
「信頼もしているが、表立って口にしたら馬鹿にされるし、信用もしているが、態度に出せば気は確かかと真顔で心配されて腹が立つ、やたらと嫌味を口にするような友人だったらしくてなあ」
「それ友人か!?」
「口喧嘩ではそれなりに勝っていたんだと、僅かな勝率だけに主眼を当てるような物言いをするくらいには、友人なんだよ」
「負けたと認めたくない相手ってのは、わかるけど――いや、本当に嫌ってたら、そもそも話題にはならないか」
「簡単に言うと、鷺城の人生において唯一、対等だった相手だ。けど、その女の話になると鷺城がすぐ不機嫌になってなあ。むすっとした顔をすると間違いなく殴られるから、よく藍子が犠牲になってた。避けると間違いなく吹っ飛ばされるくらい、きちんと踏み込みやがるから、やっぱ犠牲者を確定するのが一番だ」
断言できる。
この人たちも、鷺城鷺花に負けず劣らず、大概だ。
「最初は化け物かとも思ったが、鷺城だって人間だ。まあ、長く生きるにあたって、人間という規範から外れないように、心がけてはいたみたいだけどな」
「そういう発想がおかしいだろ……」
「ただの苦労話になるからと、あまりそこらは話したがらなかった。そういう弁えも、一年を過ぎれば見えてくる。今いないことを嘆くくらいには、まだ教わることはあったと、そう思えている――まだ、俺らの中じゃ比重が大きい。昔話なんてしようもんなら、涙脆い藍子なんかはすぐ泣きだす。つられて陽菜までうつむけば、慰めるのも面倒だ」
それにと、ファゼットは煙草に火を点ける。
「おそらく、俺らが死んだ後に逢うことになる」
「――は?」
「死後の世界なんてのは、空想の産物だが――こっちで死んだ鷺花は、死にきれない」
「そりゃあれか? オリナさんみたいに、幽体としてこっちに縛られてるとか、そういう話か?」
「いや、それはない。オリナ程度ならまだしも、鷺城鷺花なんて存在を留めておけるだけの器は、存在しないからだ。さっき言っただろ? 鷺城はこの世界で、二度死んでる。俺にもまだ理解は追いついていないが、同一存在の
「世界がどうのって部分を除けば、まあ、わかる気もする」
学園の名簿を改めていたら、同一人物が過去にいたことが発覚したのなら、今いる人物が偽物だと、そう思うのが自然だからだ。
「元いた世界の知り合いは、それを見越して手を打ってくると――断言しやがった、あの女」
「……おかしいことなのか?」
「わからねえよな? だよな? 冷静になってから、改めて考えるとわかってくる。鷺城はこっちに来る時、同じ長生きをしていた二人の友人を亡くして、その隙を衝かれて召喚されたわけだ。となれば、召喚されたこと自体を知る知り合いがいねえ」
「――マジか」
「その上での断言だぜ? さすがにこの事実を知った時は、半日くらい言葉も交わさず、全員が思考をそっちに傾けた。それでもわかんねえから、訊ねればこうだ。完全に死ぬには、元の世界に戻るしかない。逆召喚の手順を踏むのが方法だ。あとは死後に誰かが気付く――とか何とか」
「死後に気付くってなんだよ……」
「よくわからんが、とにかく確信してた。で、逆召喚の方法に〝縁〟を使うらしくて、まず俺らが召喚されるらしい。死後に」
「俺もわかんねえから、とりあえず頷いておく」
「そうしとけ。鷺城に縁のある俺らを呼べば、その繋がりから鷺城を呼べる――らしい。あの女が断言したんだ、そうなんだろうな。だったら」
そう、ならば。
「簡単にはくたばれねえ。死んだ後に、あのクソ女に説教されるのはご免だ」
「……父さん」
「なんだ?」
「それ、呪いだろ」
「まあな。けど、そうなっちまうんだよ、どうしようもねえ。鷺城鷺花って女はそれだけ、影響力を持ってた。戦闘だけじゃなく、本当にいろんなものを教えて貰ったからな」
「身に着けた父さんも凄いとは思うぞ」
「そうか? 四人揃えても、鷺城にゃ届かねえよ。つまりその一人にも届かないお前は、まだまだヒヨっ子だ。居合いを両手で受け止められるようじゃなあ」
「うるさい、いつか斬る」
「その意気だ。いずれにせよ、鷺城が俺ら四人だったように、俺らだって大勢を育てられるわけじゃない。やるべきこともある――が、それでも、できるだけガキには大きく育って欲しいもんだ」
「ディカやリコさんは育ってるだろ?」
「まだまだ、先は長いって話だ。お前だって、自分の行動が政治的にどうだとか、街への影響がどのくらいとか、そういう思考は持ってないだろ」
「そりゃそうだけど……ってか、そんなこと考えるのか?」
「ほかの街に行けば、俺らなんか
「やっぱり外にはほかの街もあるのか!」
「あのな光風。俺たちはな、この世界の住人はまだ――世界の広さだって知らないんだよ」
ぞくりと、背筋が震える。怖さではない、むしろそれは嬉しさだ。
未知への期待。
そうだ。
そういうものを求めたからこそ、光風は冒険者になりたいと、そう思ってここにいるのだ。
「――すげえな。俺もいつか、そっちへ行きたい」
「おう、焦る必要はないが、そこそこ早くしねえと、俺らが気まぐれに道を作っちまうかもな?」
「クッソ……俺の楽しみを奪うなよ」
「いずれにせよ、踏破したいなら、スライドへの理解と、把握。それから魔物の対応、ひっくるめて世界を知ることが重要だ。術式を使えなくても、魔術の理解を深めないと、世界は見えてこない。その上で、お前なりの回答を出さないとな」
「それ、学園の座学で教えてくれるってか?」
「その口うるさい魔術書に聞けよ」
「最近は静かだけどな」
手元にはないが、傍に在る魔術書に意識を向ければ。
『いずれね。そう、いずれだ。今は駄目だね、まだまだ先は長いし――』
「うるさい結論言え、火の中に投げ込むぞ」
『――ほら、キャロちゃんが不機嫌になる。本気でやるから性質が悪い、俺みたいに楽しみでからかうならいいのにね』
本人――と言っていいのかどうかはわからないが、少なくとも居合いの標的にされたり、火の上に落とされたりと、現実にされていれば口数も少なくなる。
「ん……そういや、グラって猫がいるだろ。あれもだいぶ魔術を扱えるよな」
「ああ、あいつな。たぶん鷺城がいた世界に、似たような猫がいたんだろう。本当の名前は知らないが、鷺城が思わずグラ、と言いかけて止めたんだ。だからそのまま、グラと呼んでる。あー……一応、猫族って人種」
「猫……族? ケイジが確か、ぽろっと言ってたような」
『そんなことは忘れたね』
「本人は話さないから、俺も黙っておくが、そういう種類があるんだよ。あいつの魔術は鷺城から貰ったものでな、ディカよりも多くを受け取っている。なんつーか、ディカが教わったなら、グラは引き継いだって感じだな」
「だからディカも、保護者とか言ってたのか……」
「性格もアレなんだよ、あいつは」
「ノーコメントにしとく。……なんか、一気に世界が広がった感じがあって、持て余すなあ。俺さ、あと半分で一ヶ月くらいだろ? それ終わってから、満足できる訓練ができるか?」
「一人で何でもやろうとしなけりゃ、なんとかなるさ。ただ、冒険者はやめとけ。連中を追い越すのに、冒険者を頼ると、越せなくなる」
「ほどほどにしておく。ケイジが言うには、エスパーは基礎体力が全てだとか」
「能力を超えるってことは、基礎能力そのものを増幅するわけだ。簡単に言えば加算だろ?」
「ああ、そういう……ケイジは遠回りなんだよなあ、言い方が」
「趣味だ、慣れろ。まあどんな技術も、基本は重要だ。つーわけで、食材の調達に行くぞ、お前ら」
「うっす」
「はいよ。どうせあたしが大物を仕留めるんだろうけどな?」
「お前は刀を使ってるじゃねえか!」
「はあ? あたしみたいなガキに、無手で同じ土俵で勝負しろとか、そんな情けないことを言うのが野郎のすることか? ん?」
「クソッタレ、やってやるよ……!」
木の実などは、バランスを考えてファゼットが収穫し、魔物の肉は二人が仕留めて保管する。
さて。
今日は一体、何日分の食糧が確保できるだろうか。
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