マンション住まいのIさんは、ある夜会社から帰ってへとへとに疲れていた。

電気も点けないままに洗面台へ向かい、暗闇の中、化粧を落として顔を洗った。

出しっぱなしにしていた水が光っていた。

一定のテンポで水が瞬いており、それが映画で見たことのあるSOSのモールス信号だと気付いた彼女は警察に連絡した。

その信号を送っていたのは、一階上の浴室に監禁されていた18歳の少女だった。誘拐されて二日、飲まず食わずで閉じ込められていた彼女は洗面台下の懐中電灯を蛇口に当てて、光の信号として助けを求めたのだった。

浴室の外から釘と板を打ち付けた誘拐犯は、同じ部屋で死んでいた。

少女は彼との面識はなく、動機は未だはっきりしないという。

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