J.蛍光灯(11分)

Jさんが若い頃に通っていた女子校には、妙な現象が一つあった。

ある教室の一角だけ、蛍光灯の寿命が尽きやすかったのだ。新品のものに交換しても、半日ともたずに切れてしまう。

やがては授業にも支障が出るとのことで、少子化に伴って使われなくなったという。

何だか私たちも気味悪くてね、と。その一角には、Jさんら生徒も出来る限り近付かないよう避けたまま。あっけなく彼女は卒業してしまったらしい。

しかし最近になってようやく、その蛍光灯の謎が解けたのだと言う。

校舎を建て替えることになって取り壊したの、と。そしたらその角のところの壁から出たのよ。

何が出たのか。

それは赤子の人骨であったという。

途端、大騒ぎになって、建設当時の関係者や責任者、果てには近隣住民までも調べられたが、その赤ん坊が一体どこの誰の子であるかも、どうして壁に埋め込まれたのかもわからずじまいであったという。

ただね、とJさんは続けた。

うちはほら、昔から良いところのお嬢さんばかり通っていたから、もしかしたら表に出せない妊娠なんかもあったのかもしれない、と。

思えばそれは古い、戦後まもなくの頃の話である。

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