大篠

某氏の名声のおかげで大篠とはどこか分かる人は分かる世になってしまった。

父はそこの出身である。


父方の祖父はハッキリ言うとアル中でどうしようもない人だったのだが

孫の私から見るとまぁまぁ良いお爺ちゃんであった。


父方祖父は出戻りコブ付きの祖母に押しかけ強引に夫婦になった模様。

子はたくさんもうけたようだが生き残ったのは双子の片割れである父を含む4人。

しかも父は私生児扱いだ。正式に祖父が認知したのは叔母のみ。


父は幼少期にかなり苦労したらしい。

その反動で己が子には好きなようにさせたいという方針になったようだ。

父から直接苦労話を聞いた記憶はない。

母から伝え聞くのみ。


父の兄弟、つまり伯父叔父の話を聞く限り父はアル中のなかでも真面目だった。

家族を愛し仕事に誇りを持ち我慢強く人生を生き抜いた人だった。


とはいえ母の印象は違うらしい。


娘にとっては最高の父であったと伝えたい。

彼岸なので。

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