1本の紐に込めたお願いごと

この紐に夢を希望を

ミサンガを身につけている1人の少女は言った。

こんなただの紐一本を身につけて、切れた時に願いが叶うなんて…。

こんなもので願いが叶ってたら、皆つけてるわ、と。

だけども、今日もカノジョはミサンガを着け続ける。

何故か切ろうとは思わない。

特に大それた願いなんて何もないけれど、

切ってしまったら本当に叶わなくなりそうで。

こんなたかが紐一本に、全てを賭ける訳じゃないけど、信じてみたい。信じたい。

占いの類は意図も容易く人を縛って唆す事が出来る。

それが怖くて、目に見えないから不安で、信じる事が出来なくなっていた臆病な少女に、この紐一本で奇跡が起きる事を祈りたい。

ミサンガを今日も変わらず着け続ける、哀れだけれども、希望に満ち溢れた人達は、この色とりどりの紐一本に様々な思いと、微かな祈りを込めて、奇跡が起きるその日まで、その紐の結び目をそっと眺める。