第11話

「…」

あまり見ないその光景に、不思議に思いながら振り向くと笑顔の案内人は手に二つのアイマスクを持っていた。

「ご乗車される前に、このアイマスクをしてください。それで出発いたします」

「いや、俺は…」

「ささ、早くなさってください」

隣を見ると、言われるままにアイマスクをする女性がいた。

こんな怪しい連中の言う事を聞くのはどうかと思いながらもまた案内人の方へ向くが、有無も言わさない雰囲気をしている。

仕方ないとアイマスクをするとどうやら車に乗せられ、何処かへ動き始めた。

道中ゆったり揺れながら自身に何をしているのかを考えて見るが、すぐには答えが出てこない。

むしろ謎ばかりが深まり暗闇の先にはただはてなの文字で埋もれていく感覚が気持ち悪く、吐き気をもよおしそうになる。

隣に先ほどの女性がいるのか男の呻く声に反応をし、話かけてきた。

「あの、大丈夫でしょうか。もしかして車酔いされましたか?」

心配をして話かけられたのはわかっていたが、それに答える気になれない。

どうやら砂利のような工事中のような危なっかしい場所へ出たようで、揺れは激しさを増していた。

そんな状況の中まだハテナは暗闇の中に浮かび続け、とうとう胃の異物が吐き出されそうになり、口を思わず塞ぎたえること何十分が過ぎた頃、揺れは収まりどこかへ着いたことを知らせた。

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